第7話
だが世の中はそんなに甘くない。
一度も演技した事もない愛奈には全てが驚きの連続だ。でも、撮影の時は刻一刻と迫って来る。毎日仕事から帰ると、愛奈は台本を読んだ。既に深夜の2時が来ている。島根の星々が煌めく静かな夜と違い、東京では高層ビルや家々の灯りが真夜中でも消える事はない。愛奈が住んでいるのは南麻布の超高級マンションである。事務所から貸し与えられていた。20畳はあるフローリングのリビングに、薄いピンクのソファがあって、愛奈はその背中に持たれながら、台本を開いていた。
……祐希、もう寝ているのかな。
ふと目を閉じてみる。
頭の中に過るのは祐希の姿だ。
祐希は158cmで愛奈よりも身長が低い。
その事で失恋した事もあった。
……私より低い人はちょっと。
祐希が初めて好きになった女の子はそう言った。
大川沙織。
同じクラスの子だった。
中学1年の冬の事だった。
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