Love at first sight

第1話

「ぅ~……どっちかなぁ……」



完全に道に迷っちゃったみたい……。



前回来た時は一人じゃなかったし。



握り締めた地図を、穴が空く程 見ているというのに……


どうして辿り着けないんだろう……。



目的地は駅から徒歩5分の筈なのに、既に30分経っている。



はぁ……。



折角、春休み中だから私一人でお兄ちゃんのバイト先まで行って、お兄ちゃんを吃驚させる作戦なのにぃ……!



お弁当を持って来たから、絶対にお昼までには辿り着きたい。




……ん?



そういえば私、今何処にいるの?



「…………」



これじゃあ、地図見ても意味無いよね……。



周りはビル群に囲まれてるし交番も見当たらないし駅も見えなくなってるし……。



情けない事に、行き交う人に道を訊ねる勇気を持ち合わせてはいない。




“お兄ちゃ~ん……何処にいるの~!?”



空を見上げて念じた。



返事なんて、ある訳がないのに……。





「――泣きそうな顔、してるね」

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