前のエピソード――第3話　「犯罪」と障害者の結びつきという誤解

SNSの普及により、誰もが簡単に意見を発信し、さまざまな情報に触れることができるようになりました。しかし、匿名性のあるSNSでは、障害者に対する心ない言葉や強い偏見に基づいた書き込みも多く見受けられます。このような無責任な誹謗中傷が当事者に与える影響は大きく、精神的な負担を強める一因となっています。

SNS上の誹謗中傷と偏見の助長

SNSでは、精神障害や身体障害について発信する人々が誹謗中傷や攻撃的なコメントの対象になることが少なくありません。特に、障害をオープンにして発信をしている人々は、その勇気や発信内容に対して感謝や共感を得る一方で、「甘えている」「怠けている」などの否定的な言葉を投げかけられることがあります。また、偏見に基づいたコメントによって、障害者全体に対する誤解が広がりやすくなるという問題もあります。

こうした書き込みは、SNSの特徴である「拡散性」によって広がりやすく、多くの人が同じような偏見や誤解を抱く原因となります。一度拡散されると、その情報は長く残り続け、偏見や誤解が根強く残ってしまうのです。

当事者が感じるストレスと孤立感

SNSでの誹謗中傷は、障害を抱える当事者にとって大きなストレスとなります。心ない言葉に晒されることで、発信をやめざるを得なくなったり、自分自身に対する価値を見失ってしまったりするケースも少なくありません。また、SNSでの発信を通じて社会に理解を広めたいと考えていた当事者たちが、孤立感を深めてしまうこともあります。

特に、精神的な疾患を抱える人々は、感情のコントロールが難しいと感じることが多く、否定的なコメントに強く影響を受けやすい傾向があります。誹謗中傷を受け続けることで自己肯定感が下がり、症状が悪化することさえあるのです。

無自覚な偏見とバイアス

SNS上での誹謗中傷や偏見に満ちたコメントには、発信者の無自覚なバイアスが含まれていることが多いです。障害に対する十分な理解がないまま「特別扱いだ」「自己責任だ」といった偏見を発信することで、当事者にとって傷つく内容となるだけでなく、同じ偏見を他の人にも植え付けてしまうことがあります。これが連鎖していくことで、社会全体での障害者に対する偏見が強まっていくのです。

誹謗中傷を防ぐための取り組み

誹謗中傷を防ぐためには、SNSの利用者一人ひとりが責任を持って発信することが大切です。相手に対する理解や共感を持ち、偏見に基づいた言葉を避けるようにすることで、障害者が安心して発信できる環境が作られます。また、SNSプラットフォーム側も、誹謗中傷や偏見を含む投稿に対する適切な対策を強化する必要があるでしょう。

また、教育や啓発活動によって、障害についての正しい知識を広めることが、無意識の偏見を減らすために効果的です。障害についての正しい情報が広まることで、SNSでの無責任なコメントが減り、当事者が発信しやすい環境が整うことが期待されます。

結論

第4話では、SNSにおける誹謗中傷とその影響について考察しました。匿名での無責任な書き込みが、障害者にとって大きな精神的負担となり、社会全体の偏見を強める原因にもなっている現状があります。次回は、障害年金や就労支援に対する偏見について、さらに掘り下げていきます。