鍛錬後の帰宅
魔法使い編の長期滞在の最終日となった今日、三人はいつもの草原に向かった。
「これは勢ぞろいだね。まあそうなるように仕組んだんだけどね」
雪梛の言う通りこの世界の友達が全員揃っていた。
「今日で最終日なんだっけな。まあほとんど完成されてきたしもう教えられることもほとんどないのだがな」
今まで香澄の特訓に付き合ってくれていた深雪がそう言った。
「さてと、今日は最終調整よ。少しだけ練習してそしたら会長と深雪の出力と勝負よ」
そう言うと香澄は早速調節し始めた。
「香澄はああ言っているけど実際大丈夫なの?」
「大丈夫だ。会長も知っている通り鍛錬がものいう闇魔法をここ最近ずっとやり続けているんだ。しかも何度も失敗しているからその分成長度が異次元なんだ」
会長は納得したようだ。
「そろそろいいかしら?私は準備OKよ」
その言葉を聞いて三人は間合いをとった。
「いくわよ」
香澄がそう言うと会長と深雪がタイミングを合わせて闇を生成し始めた。
前に雪梛が破壊した闇球体と同等サイズのようだ。
対する香澄もそれに匹敵するものを作り出していた。
「「どうだ!」」
三人の視線が雪梛に向いた。
「ぶつけ合うとかじゃないんだね。実際動かせないでしょそんなサイズで作っちゃ」
どうやら動かせない理由も知っているようだ。
「どうだと言われても同じぐらいの大きさで出力も同等程度ではないのかなと言うのが率直な感想かな」
そう言われた香澄が一つ提案をした。
「そしたら貴方が地球割りをすればいいじゃない。検証も兼ねて」
香澄にそう言われて納得してしまった雪梛は亜空間から刀を一本もらい会長と深雪が生成した球体の前に立ち分析を開始した。
「本当にきれたりするものなのかしらねー。楽しみだわー」
呑気なことを言いながら会長たちは見守っていた。
シュン
雪梛は分析が終了した直後に刀をひと突きした。
雪梛が振り終えた後も球体は二つにはならなそうだ。
「流石にきれないんだな。まあ質量持ちのものでもないしそうだよ」
スパ シューン
「は?」
その場にいる香澄と雪梛を除いた全員が間の抜けた声を発した。
「まあそうよね。そういえば一度粒子の塊を破壊していたものね」
香澄の言う通りだ。
雪梛は以前世無離の隕石みたいなやつを割る際に内部に立体的視認をかけて隙間を縫いながら刀を差し込み割るという意味わからん芸当をしていたがようは原理はそれと一緒というわけだ。
「やっぱり一度指摘されないとこんなものなのかね。会長も深雪も粒子の組み込みが甘いよ。そうすると今回みたいに一点を崩されると性質も形状も存在も保てなくなるからね。もう少し丁寧に組み上げればいい感じになると思うよ」
雪梛にそう指摘されたが二人はどこか上の空のようだ。
「私のはどうかしら?そこそこの出来だと思うのだけれども」
香澄にそう言われて雪梛は立体的視認をかけた。
30秒ほどじっくり見てから雪梛は刀を生成した亜空間に投げ入れた。
「流石だね。どこも抜かりなくそれでいて安定しているよ。これならば薄く伸ばして生成して壁にしたり極小の球体を発射したりのかなりの応用が効きそうだね。でも体力消費がやばいからそこだけどうにか効率化したいってところかな」
雪梛に褒められて満足したのか香澄は胸を張りながらアドバイスを脳に記憶した。
「さてと、じゃあ私たちはもう行っちゃうね。短かったけど楽しかったよ」
「そうね。またどこかのタイミングでくるわ。初雪もいくわよ」
雪梛は面倒だったのか闇球体を強制消滅させてから亜空間を生成して原初へと向かっていった。
「久しぶりやなって急に何するんよ!」
原初の自宅にはてんちょうが不法侵入していたようだ。
「なんでここにいるのかしら?貴方は私たちが懐かしの詩を読みながら斬り殺しておいたはずよ」
「私の知らぬ間にそんなことをしていたの⁉︎」
驚いている初雪は置いておいててんちょうは挨拶をするようだ。
「とりあえず初めまして…よな?まあええわ。私に名前はてんちょう。この世界の作者であった存在で今はその権限を雪梛にもたしとるただの女の子や」
「私の名前は初雪。魔王である世無離を倒すためにいっぱい加護があるんだけど殺す気はない人だよ」
独特な自己紹介も終わったところで雪梛は本題に入るようだ。
「私たちは防衛団を辞めるために帰ってきたんだけどその様子だと何かしてきたの?」
「そうや。やっぱ話がはやくて助かるわ。防衛団の本部っちゅうかお偉いさんみたいな人に別世界飛び回って人助けしとるでゆーたらそんならええでーって回答をもらったのやさかい伝えよーおもってここにおったわけよ」
「まともな喋り方はできないのかしら?読者さんが読みづらくて困るわよ」
怒るところがずれている気がするが誰も指摘はしないようだ。
「そうなんだ。でも挨拶は必要だからいってくるね。香澄と初雪もこんな変人に構っている場合じゃないから行くよ」
「なんや変人て⁉︎おいちょっと待ってくれ。私と誤解を置き去りにせんといてくれやー」
そんな言葉はいざ知らず三人は防衛団本部へと出向いて行った。
道中にはりえやら言映やら変人やらがいたがとりあえず本部についたようだ。
中に入ると受付の人が一人いた。
「これはこれは雪梛さんに香澄さんじゃないですか!一体どこに行っていらっしゃったんですか?それもその可愛らしいお連れ様は?」
どうやらまだ覚えている人間が多いようだ。
「この子は私たちの愛情ゆえに生まれた子供よ…流石に冗談よ?まあちょっと遠くから来た知り合いと言ったところかしら」
「なるほど、異世界から来たお方でしたか。それで本日はどの方のご用件でしょうか?」
「今日は私の知り合いの変な喋り方するやつがなんか話つけておいたとか言ってきたから直接きて話をしたほうがいいと思ってきたんだよね。私の処遇について話していた人を呼んでもらえない?」
受付の人は瞬時に誰かを理解して呼びに行ってくれたようだ。
少し待つとすぐにきてくれたようだ。
「大変お待たせいたしました。私が貴方の知り合いの方と話していた者です。立ち話もなんですので会議室の方にご案内いたしますね。
会議室と聞いて嫌な予感がした二人だが行かないわけにもいかないのでついて行った。
会議室につき部屋に入るとやはりというべきか何人か人間がいた。
「お久しぶりです。雪梛さん、香澄さん。私は貴方たちが紅葉、吹雪と呼ばれていた時代のものです。とりあえずお座りください」
その時代を知っていることを隠さないあたりこの部屋には本当に久しぶりのメンツが揃っているようだ。
と言っても直接的な面識はないはずだがな…。
「今日はこんなにいっぱい集まってどうしたの?私は仕事をボイコットしていたことを謝罪しにきたんだけど」
そうすると香澄がついてきたことが謎になるようだが誰も気にしていないようだ。
「その点については問題ありませんよ。短期間で組織の大量破壊をしてくださり新人戦に入り込んでは圧倒的な技術力を見せていただいたのでもはや所属してくださるだけでも結構なのです。それに今は別世界に飛び回っているとの情報が入っておりましたので大丈夫ですよ」
どうやら案外仕事をしていたらしい。
しかし無断で何もしていなかったことをよしとする理由にはならないため埋め合わせをしたいようだ。
「まあそっちからしたらそうかもしれないんだけどね。そしたらこうしてもいいかな?私と香澄の戦いを貴方たちに見てもらいそれをまあ撮影でもして防衛団の先鋭にでも見せてあげればいいよ。香澄もいいでしょ?」
雪梛にそう聞かれた香澄は即答で“ええもちろんいいわよ”と答えた。
そんなこんなで話がつき会議室にいる人々は外へ出ていった。
「何が始まるのでしょうか?」
事情を知らない受付の人が困惑していた。
「これから私たちが戦うのを見学してもらうのよ。よかったらどうかしら?」
受付の人は香澄に誘われてついて行くことにしたようだ。
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