トーナメントの決勝戦
「なんか久しぶりの戦闘だね」
「そうね。会場が壊れないことを祈っとくわ」
「おお。中々気合が入ってるね」
「なんだか気が抜けているような感じがするけれど大丈夫かしら?」
香澄は先程から気になっていることを聞いた。
「大丈夫だよ。ただ全力な試合の連戦が久しぶりだから集中力を回復してるだけ」
雪梛はそんなことをいいながら刀を鞘から出して確認していた。
「そう。ならいいわ。全力でお相手をよろしくね、極限向上の雪梛」
「こちらこそ二銃分析の香澄」
2人は二つ名で挨拶を交わすと今度はしっかり別々のゲートから出ていった。
「大変長らくお待たせいたしました。まもなく決勝戦が始まります。もはや新人戦ではないのですが見るだけでも得られるものはたくさんあります。あと会場の破損の危険性がありますのでお気をつけください」
「ついに変なアナウンスが入ったね」
「まあ変なのは決勝戦に出場している選手なんだけどもね」
「あら、いつの間に来たのかしら?」
「私も残念ながら作者に呼ばれたからね同行させてもらうよ」
霊斬はそこまで残念ではなさそうに言った。
「わかったわ。とりあえず自己紹介をどうぞ」
朝月に言われ少し姿勢を正してから始めた。
「DF型の霊斬だ。漢字は文章を見といてくれ。得意技はカウンター、衝撃吸収、見切りだよ。まあよろしく頼むね」
「なんか雪梛とのキャラ被り懸念点だね」
りえは皆がなんとなく感じていたことを言った。
「さあそろそろ試合をみよう。かなりの白熱した戦いになるだろうからね」
言映の言葉に頷き全員席についた。
「なんかゲート逆だったね」
「くっ、盲点だったわ」
ふたりは最初からまたしてもしょうもないミスをしてしまったようだ。
「まあいいわ。さっさと始めましょう」
「うん、そうだね」
2人は間合いをとってお互いの構えを確認した。
「あら?ちょっと構えが違くないかしら」
「こんな感じの対戦形式は初めてだからね。ちょっとしたサプライズ技を使おうと思ったんだよ」
そう言って雪梛は刃の方でなく峰の方を向けた。
「まあ私は普通に行かせてもらうわよ」
そう言って香澄はセミ式にしていた銃を一発雪梛に打った。
「ふっ」
雪梛は集中と共に声をだした
撃たれると同時に雪梛は見切りで香澄の銃弾の軌道を予想して飛んできた弾に自身の刀の峰をぶち当てて跳ね返した。
「!!!」
香澄は驚きこそしたものの極めて冷静に跳ね返してきた弾に銃弾をくれてやり軌道をそらして雪梛を見やった。
「流石だね。どんな状況でも冷静に動くことができている。ともあれこれで本調子であることがわかったでしょ?まあそれを確認するための初撃なんだろうけどね」
雪梛は普段どうりの構えをしながら香澄に話しかけていた。
「確かにあなたは本調子だと思うわ。でも何か違和感があるのよね。気のせいかしら」
そう言いつつもすでに臨戦体勢に入っている。
「戦っていればわかるでしょ。さあどっからでもきていいよ」
そういうと雪梛は集中力を高めた。
「さあでは始めましょう」
すると香澄は何やら計算をしてるようだ。
この技は雪梛も知っているのだが以前までは屋外ではできないはずだった。
もしかすると全力の戦いにテンションが上がっているのかもしれない。
カチッ バババババ…カンカンカン…
「ブレイクショット」
香澄は特訓の成果なのかついに対雪梛用の技を屋外での使用に成功した。
複雑な軌道を描いていく弾は計算された通りに弾いたり駆けたりして雪梛を囲んでいる
「ハイテンションって素晴らしいわね」
「私のためにこんな大層なものをくれるとはね」
雪梛は焦りもなくただ冷静に自身のスレを飛んでいる弾を“観察”していた。
「それなら私も見してあげよう」
すると雪梛はさらに集中力を深く深くに持っていって、いつぞやの最強の気配を身に纏っていた。
「刹那モード」
普段とは比にならぬただならぬ気配を発しながらただ冷静に弾を見ている。
そして雪梛は刀を自身の鞘に収めて腕を脱力してぶら下げる自己流の構えをとった。
「ここだ」
そう呟いて雪梛は脇腹に不意に飛んできた弾を人差し指と親指で摘んだ瞬間に反射?を使ってほぼ同速で回転しながら弾を投げ捨てた。
「!?」
会場はおろか香澄ですら驚きを表情に出してしまった。
「珍しいね。香澄が驚きを顔に出すなんて。普段どうりに冷静を装うと思っていたけど」
香澄は困惑しながら雪梛に聞いた。
「あなた、ついに人を超えたのかしら?」
香澄はリロードしながら素直な感想を言った。
「いいや?別に難しいことでもないよ。今までだって弾を切ったり打ち返したりしていたじゃん。要はそれの応用、基礎さえあれば香澄もできるよ。というかできるでしょ?」
雪梛はさも当たり前かのように説明をした。
香澄はセミ式に切り替えて構えて雪梛は刀を出してあまりにも落ち着きすぎた様子で構えた。
「そういえば聞き忘れていたわ。いつからそれになれるようになったの?」
香澄は臨戦体勢になりながら聞いた。
「ついさっきだよ。試合が終わって相当な消耗をしていたところにさらに集中という負荷をかけたらこうなった。初回だって似たような状況だったでしょ。まあいいじゃん。早速戦いを始めよう」
香澄はそう言われた直後に雪梛の右肩左足腹部に目掛けて三発撃った。
「やっぱりこのモードはいいね」
雪梛はそんなことを言いながら見切りというよりも二手先が見えているかのような動きで香澄の弾を的確に最小で避けている。
「やっぱりその動き…めんどくさいわね」
香澄は脳をフル稼働させて雪梛の動きのカラクリを推測した。
「あれ、もうわかった?香澄の周りの気流や身体の微細な動きを読んで進行方向を脳内で視認化して弾道を当たらないようにしているだけだよ」
「だけって何よだけって」
香澄は心底呆れながらハンドガンを下げてサブマシンガンを構えた。
「きなさい。刹那のマイゾーン」
「香澄の要望とあっちゃ断れないね」
軽口を叩きつつ雪梛はいつも通りに刀をしまい低重心に構え香澄を見据えながら力を貯める。
「私も日々の成果をみしてやるわ」
すると香澄は銃を全てしまって代わりと言わんばかりに手刀を構えた。
「雪は穏やかに舞い降りる しかし時折吹き荒れる この吹雪の中 貴方は前が見えるかな」
雪梛は詩のようなものを読んでそして香澄に比喩でもない目にも止まらぬ速度で打ち込んだ。
「刹那のマイゾーン」
猛スピードで雪梛が来るも香澄は目を閉じている。
目を閉じることによって視覚を消す事によって得られた7割を別の感覚に使い感覚を研ぎ澄まして技の整理をしているようだ。
そして香澄はゆったりとまぶたを開きながら見切りを発動させて多少の軌道を読みそして受け流しを使用して雪梛の刀が触れると同時に同速で自身の手刀を動かし殺しきれなかった勢いは自ら超スピードで背後に吹っ飛んだ。
壁に触れると同時に衝撃透過を使い激突の衝撃を壁に流した。
ダメージこそは受けたものの初めての発動の割には格段にダメージが軽減されていた。
「すっごいたくさんの技を混ぜたね。もう実戦投入できるなんてね」
「今は過去最高に集中していたからよ。いつもはこうはいかないわ」
雪梛は急に刀をしまって脱力させて構えをとった。
「もう私たちには拳しかないのかもね」
「ええそうね。銃を撃っても弾は取られる。あなたが刀を振っても私がどうにか受け止める。やはり至高の攻撃武器は原点回帰というなんか残念な結果ね」
「まあそう言わずにこの戦いを素直に楽しもうじゃないか」
「そうね。ではこちらから行かせてもらうわよ」
そういうが否や香澄は反射を使って走り出し雪梛に渾身の一撃を狙った。
しかし雪梛は常に実質的な2手先が見えているので難なく回避。
そして回避直後に体を低くして足のバネの力を使用して香澄の腹部に一撃を叩き込んだ
ドン
鈍い音がしたがこれを香澄は衝撃移行からの地面への衝撃放出でダメージを限りなく減らして体制を整えるために後ろに跳躍した。
「ちょっと分が悪いんじゃないの?」
「いいえ。体感的には互角よ」
実際にそう感じながら香澄は次の一手を考えていた。
また反射でかかろうかと思ったがおもむろにハンドガンを取り出して雪梛に3発撃った。
「安易に撃たないほうがいいよ」
そう言うと雪梛は2発は自前で避けて最後の弾を人差し指と親指で摘んで弾の進行方向に回転して香澄に目掛けてぶん投げた。
「わかっているわよ」
そう言うと香澄も全くおんなじように弾を投げ返した。
音速の弾の投げ合いが始まった。
「最高なキャッチボールだね」
「ふふふ、冗談きついわ」
軽口を叩きながらも2人は確実に弾を投げ返している。
「どうしようかしら?」
「だからって避けようがないよ」
音速で弾を投げ合っている為避けることもできないようだ。
「じゃあいいよ」
すると雪梛は弾を真上に投げてこのキャッチボールを終了させた。
「さあ第二ラウンド開始よ」
言うと同時に香澄は雪梛に反射を使って再度殴りかかった。
今度は雪梛が香澄の反射で接近してくる位置に合わせて左半身を向けて手のひらを向けた。
(まずい)香澄は雪梛の行動の意味を理解したが今更行動は止められない。
香澄の予想どうりに雪梛はカウンター?を使って香澄の拳に手が触れた瞬間に同速で身体を回転させて勢いのついた左の拳を裏拳で香澄の背中にぶち込んだ。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「なにぃ⁉︎」
香澄は吹っ飛ばされながら身体を回転させて足から壁に突撃したがその直後とてつもない勢いで雪梛にぶっ飛んできた。
「パワードライブ」
香澄は反射と雪梛のカウンター?の威力を足に衝撃保留させて壁激突と同時に衝撃放出させて雪梛に襲いかかったようだ。
「流石にきついかも」
そんなことを言いつつも雪梛は手刀で居合いを繰り出した。
「マイゾーン(刹那モード)」
ドッカーン
「くっ」
「ふっ」
両者壁に激突したが香澄だけ衝撃透過に失敗したようだ。
「最後のやつは流石にヒヤッとしたよ。最高だった」
雪梛は珍しく笑いながらいった。
「わたしも同感よ。またやりましょう」
そう言って香澄は雪梛の肩を借りて2人で戦場を後にした。
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