正しい愛され方

涙目になりながら奏斗の部屋に行く。

「お邪魔します…」

背筋が丸まり小さくなりながらそっと部屋に入る。

奏斗の部屋はシックな机や本棚が置いてあった。

本棚に置いてある本を見ると専門書しかなく、男子の部屋にありがちな漫画の本は1冊もなかった。


「…本に夢中になるのはいいが、つらいこと全部僕に吐き出して」

「うん…」

結子は抱えていた全てを奏斗に吐き出した。

家庭のこと、何もかもがつらいこと、求めてる愛され方が人と違うこと―

すると奏斗はこう言った。

「素人知識の人が言うのも難だが、きっと【家族にずっと愛されたかった】のに何かがきっかけで叶わなくなってそれで【正しい愛の形】を忘れてしまったのだろう」

ドンピシャだ。

結子は小声で「うん…」と言いながら頷く。

すると奏斗は

「正しい【愛され方】を失ったのなら、僕と一緒に取り戻していこう」と、結子の頭を優しく撫で抱きしめた。

伝わる奏斗の優しさと温もり。


少しずつでいい。正しい愛され方を取り戻したい。

そう願った。

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