第3話

「藍原さん、関口さん、今日は俺の席でお弁当食べよー!」


「……うん!」



振り向いたあたしと目が合うと、声の主であるその男の子はにこにこと笑いながら、こっちに大きく手を振った。



少しふわっとしたさらさらの黒髪。


大きすぎず小さすぎずバランスのとれたきれいな鼻。


パッチリとした二重に、時として子犬を思わせる丸い瞳。



そんな彼── 雪平ゆきひら りょうくんは、あたしと同じ1年C組の生徒だ。


とっても爽やかで温和な顔付きをしていながら、バリバリの剣道部で、身長は170cmを優に超えているみたい。



そして──。



「ねぇ手ぇ振ってるかわいー!」


「はぁ……雪平くんの笑顔、今日も癒しすぎる」


「目が幸せ〜」



そう。


彼はいわゆるこの学校のアイドル的存在で、いつもいつも大量の熱〜い眼差しが注がれている。


不思議にも、本人には全くその自覚がないみたいなんだけど……。

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