第5話

「っ……!」



店を出た瞬間、あたしは外の空気の冷たさにびっくりして身を縮めた。


ずっと温かい店の中にいたからか、余計に寒く感じて仕方ない。



「うぅぅ、寒すぎ……」



堪らずマフラーを口元までズラす。


次の瞬間。



「「うわあっ!」」



あたしは悲鳴に似た声を上げた。


というのも、誰かに後ろから肩を叩かれたからで。



な、何?



そろり、身構えながら振り向くと──。





「ナツ!?」


「吉野!?」




なぜか不思議なことに、〝ナツ〟こと、吉野よしの夏樹なつきがそこにいた。




「仲良くデートですか~?」



ニヤニヤ目を三日月にする彼は、同じクラスのサッカー部部長の男の子。


明るい髪とシンクロするように、その性格はまるで太陽みたいだ。



そんな彼が、あたしとほとんど変わらない身長に悩んで、毎日たくさん牛乳を飲んでるってことは、ここだけの話。



あ、そうそう。


ちなみに怜佑もナツと同じサッカー部の一員で、あたしは、そのマネージャーをしてたりする。


怜佑のやつ、サッカーやってる時はキラキラしてて、悔しいけどちょっとかっこいいのよね。



……って。


悠長に説明してる場合じゃなかった!

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