十四作品目 Alone ~元特殊部隊所属、ジャック・カミンスキー~ Yujin23Duo

とりあえず改めて一話から読んでみて思ったこと。

嘔吐や拷問描写がある。はがれた爪とかグロイ描写もある。

殺人・犯罪描写・薬物描写がある。

まずそれがマイナス点。

よく言えば映像が流れるような淀みのなく過不足なく緊張感のある描写がずっと続く。

褒めるならまるでアクション映画を見ているかのような小説だぁ世界観も異世界をモチーフにしていて渋い!と褒めそうだが、正直言って異世界である必要性は序盤二十話を読んでいる限りではピンとこなかった。

アクション描写も演出のような派手なモノでもなく特別センスがあるものでもない。

特に気になったのが、キャラクターの考えも動きや視線の動きだけで肝心の各キャラクターごとの心理的な描写や心理的な変化をあまり描いていないのがどうかなと思った。

キャラクター同士の掛け合いも違和感なく不快でもないが必要最低限だけで心理的な変化を書いていないから行き当たりばったりでキャラクター同士の関係性がいまいちわからない。努力している描写、なし、友情がひかる場面、なし。エロい場面、なし、ラブなテイストのある場面、なし。ほとんどが格闘と銃撃、たまにカーチェイス。

主人公のキャラクターも薄い。

主題が出るのが60話からと言われるのでそこまで読むのにかなり苦労した。

あとキャラクターの感情の動きが驚きと怒り、悲しみの三つからくるものしかなくて読んでいて感情移入すればするほどきついものがある。

キャラクターが喜ぶとか照れるとか、拗ねるとかそういう一面も出してもいいが、基本的に主人公もその他の感情は薄い。

尋問・拷問描写や日常場面で心理的な描写などが光るかと思ったが、行為のことを書いてあるばかりで、そこからキャラクターたちが何を感じ、どう思ったのかを行動だけで描写している。

正義感のある主人公、信念のある主人公、復讐に燃える主人公、旅していろいろな考えの人にふれる旅行記と言われるものがあれば救いようがあるのだが、正直どれにも当てはまらない。非行にはしるとか、過去にトラウマがあった(この描写はおもわせぶりなものがあった)とか夢や希望をもっているとか、そういう主人公でもなくただカタカナの名前をもったキャラクターが騒動に巻き込まれていく、そういった物語のように感じとれてしまう。

転生者とかも普通に出てくるが必要性をいまだに感じ取れない。

とってつけたかのように自然と言えば自然だが、何事もなく出てくる。

戦闘描写もはじまってキャラクターもわんさか出てきて、まぁ混乱することはないけれど、場面がころころ変わる。

場面がころころ変わる割には、わくわく感はない。

爽快感もないし、悲願成就というわけでもない。

アクション描写に面白みを感じ取れない読者からは辛いだろう。

まぁアクション描写だけずっと見ていたいという読者からすれば名作かもしれないが。

あとやたらゴブリンとかエルフとかその亜種がでてくるが、異世界と言えば剣とか魔法とかそういうものが出てくるけれど、そういった要素もないのでいささかファンタジーと言っていいのかも疑問ではある。

群像劇と言えば聞こえはいいが、群像劇なら群像劇らしくキャラクター一人一人の重厚なドラマがある。

だがキャラクターのドラマを書くくらいなら銃のマガジンを取り換える描写を十回は書いていそうだ。

結論 これを読むならアクション映画を見たほうが満足度は高い。

あとアクション描写のみで60話よめはきつい。

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