第118話 理由と真実
虎成城下
その不敵な笑みを浮かべた男とは、
「ナツキ、
「
「ほぉう。存外、使えぬものよな。まぁ手土産ができたから良いわ。」
腕の中の幼子の頬を右手で軽くつまむと
「ようやく、会えたな。城に帰ってゆっくりとあやすとするか・・」
紫の着物をスルリと翻し、当然のようにその場を去ろうとする。
三つの刃がその足を留めた。
「帰す訳にはいかんのでな、お家の仇、主君の仇、ここで取らせてもらう。」
家老グンカイの声には怒りの重さあった。
「俺は忙しいのだ。
「見逃すだと?」
チエノスケの槍は異様な音を響かせ始めた。低く危険なあの蜂の羽音が舞い始める。
「ここで逃すと思うのか?」
ゆっくりとユウジがチエノスケを手で制する。
「そもそも、お前の目的は何なのだ。我が国をク海の底に沈め、人々ごと石にするつもりか?」
「・・・それも、良いな。」
「キサマッ!」
明丸がその腕に抱かれているのが痛い。手を出そうにも出せる訳がない。
ユウジはその飄々とした青年に向かって問うた。
「ならば、貴様はなぜ、そのような悲しい瞳をしているのだ。」
怒りだけにかまけた質問ではなかった。
「この、
それは、この時代この地に生きる全ての人間が知っている。
「それを食い止める。その鍵を握っているのはこの子よ。」
「貴様らも
そうだ。今までは単なるおとぎ話と考えていた悲しい話だ。
「この世で言う神とは、二面性を持つのだ。にこやかなる面と荒ぶる面だ。アダケモノというのは、
やはり・・・シロウ様が考えておられたことと似ている。ユウジは唇を噛んだ。
「
・・・それは、ある種の生き物が増えすぎるということか?
「石の神である
「しかし、神である
「それは、荒ぶる魂の面であると言っただろう。肝心なことはなぜ荒ぶっておられるかだ。」
「我が子恋しさだ。いつまで経っても帰らぬ。我が子。・・・そう、この子をな。だから仇花は根を伸ばそう、伸ばそうと繁殖するのだ。未だに探しているのだな。」
そういって、
「そして、あのおとぎ話にはな・・・隠された真実があるのよ。」
真実?
「
ああ、遥か彼方の国から炎を吹く船に乗ってきた若者のことだ。
「その遥か彼方の国とは、この星の外から来たということよ。」
どういうことだ?星の外などあるのか?
「考えてみよ。この大地そのものの神と生命の神の国というのはこの星だ。違う国から来るということは他の星から来たということだ。星が国と言い換えられて伝わったのだ。誰も理解できんからな。」
何を言っているのかユウジには分かっていなかった。宇宙という概念がないのだ。
「ともかく、
みんな、あっけにとられている。
「かくして、人は他の生物より、感情が豊かな生き物になった。ク海はな。人を産み増やそうという
「それなら、貴様はこれからどうするつもりなんだ?」
「兄弟の
「なんだと・・・?それは?」
「主神、
※勇王と内花姫の話については、第36話をご覧ください。
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