第15話 登校

 ソフィアが去って、一人となった自室でヨガをしながら俺はとある事に考えを巡らす。


 ――Щиро дякую


 ソフィアが言った謎言語(ウクライナ語)。多分俺の予想ではあの意味は


「『愛してる』って意味に違いない!」


 ※違います。


 ソースはロ◯デレ。何言ってるか分からないが、言葉なんてものは雰囲気とノリで分かるんだんだよ。ソースは出川イン◯リッシュ。


「だが悲しいことに俺には彼女がいる………。すまないソフィア!俺がモテるばっかりに辛い思いをさせて!」


 いや〜まいった!まいった!モテる男は辛いぜ!


「………けど、まぁハッキリさせるのが男だよな」


 もう、誰かれ構わずヒロインにちょっかいかけるのは辞めだ。俺は全力で、烏丸鏡花を愛する。



 ◆翌日



 華蓮がまだ瞼の開け切らない瞳を擦りながら階段から降りてきた。


「ふぁ〜あ?もう朝食出来てるの。まだ朝の5時なのに………」


 華蓮は龍征の姿を確認する為、二、三度辺りを見渡すが見つからない。そして、しばらくして置き手紙がある事に気付く。


『もし、この手紙を読んでいる頃には、もう俺は居ないと思う。まぁ、死んでねぇけど!


 コホン!話を戻そう。単刀直入に言う、俺はこの家から出る事にした。だが安心しろ。料理壊滅の華蓮に自分で作れなんて酷な事は言わない。


 だから、毎日家に3食作りに行くっぜ。ヤダ俺ちょーいい兄貴!惚れちゃっても仕方ないよね〜


 一応、住む所は事前に伝えとく。◯県×市△町字□□123番地に住んでる。近場のコンビニの近くのマンションだ。何かあったらそこに来い。


 あー、あと家を出た理由だが、彼女が出来た。華蓮だけならまだしも、年頃のソフィアと俺が一つ屋根の下で暮らすのは流石に不純で彼女に申し訳ないからだ。


 PS

 俺が居ないからって甘い物食べ過ぎないように』


 華蓮は手紙を握りつぶし一言


「あ゛?」💢



 ◆



 いや〜、当日すぐ住める事になるとは運がいいぜ俺は。即断即決、迅速果断が俺の良い所だな!


「うっし、荷物の整理はここまでにして学校行くか」


 ふんふっふーん、ああ初めて学校に行くのが楽しいと思えるぜ。だって、彼女がいるんだぜ?


 いつものと変わらない風景、いつもと変わらない日常、なのにどうしてこんなに色鮮やかに見えるのだろうか。


 道ゆく先すべてが輝いて見える。これが彼女パワーなのだろう。全国の非リア共は、これを感じた事が無いのか………、実に哀れだ。


「なぁ、山村くん」


「は?」


 俺は登校中、見知った顔が居たので話しかけた。そう俺がいなくて一軍グールプの中心になってる山村………山村くんだ!


「ちょ、お前強引に肩組むな!」


「何言ってるんだい?君と僕の仲じゃないか」


 俺がそうやって、馴れ馴れしくしてると山村君の周りにいた一軍グループがどんどん離れていった。


「勝利くん………そっちの趣味だったんだね」

「ホモの間に挟まる女子は不要、やっぱり勝利は受けだよね!ぐへへへ」

「あー先行くわ勝利」


「は?えっ、ちょ、これは違くて!」


 勝利の弁明虚しく一軍グループは過ぎ去って行ってしまった。勝利って名前なんだな。初めて知ったぜ。


 しかしなぜ、絶望した表情をしているのだろうか?


「大丈夫か勝利?気分悪ければ0S-1持ってるけど飲む?」


「誰のせいでっ!?しかも、こんな校門前の全校生徒の視線がある前で!ああ、俺の学校生活は終わりだぁぁ……」


「まぁ、そんな事より聞いて欲しい事があって」


「そんな事!?おまっ、はぁ?、えっ?」


「実は俺、彼女出来たんだ!」


「………それだけ?」


「うん、それだけ。リア充の勝利なら自慢にならないと思ったんだ」


「今さっき、俺のリア充ライフは壊されたけど」


「アハハッ、面白いね勝利」


「面白くねぇよ!!」


 いやー、気分が良いぜ。侑とかだと自慢になって喜びを分かち合えないからな。同じレベルの勝利が近くにいて良かった。


 やっぱ平和ってのは格差が無いと起こらないんだな。ほら勝利の顔を見てみろよ、眉間に皺が寄って………あれ怒ってる?


 ――トントン


 急に肩を叩かれ、振り向いて見ると笑顔のソフィアがいた。


「おはよう龍征!ん、ああ山村くんもおはよう」


「えっ、ああ、おはよう」


 ん、どうしてこんなに好感度が高くなってるんだ?てっきりツンデレだと思ってたんだが。


 そんな事思ってると、力強く勝利が肩を掴んできた。


「………お前そうゆう事?」


 勝利があり得ないって目で見てやがる。そうゆう事ととは何を言ってるんだろうか?野郎なんてどうでも良いから分かった振りでいいや。


「ああ、よく分からんが、そうゆう事だ」


 すると勝利は、絶望した表情になり


「ッ!?ち、ち、ちくしょー!!!!!」


 走り去ってしまった。面白い奴だな。


「どうしたんだろうね」


「うんこでもしたかったんじゃね?」


 こうして今日も学校が始まる。




 あとがき


 書けば書くほど伸びるせいで、メインのはずだったヤンデレの小説が、疎かになった渡辺です。いや、これが伸びるとヤンデレのPVも増えるから良いんだけどね……。

 けど、キャラで言うと俺、龍征より隼人の方が好きなんだよ………クロスオーバーさせるかもしれん。

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