ハーレム主人公に転生したのに全然モテない。
渡辺
第1話 転生してるわ
物心ついた頃から薄らと前世の記憶があった。そして高校生1年生の時に確信する。
「ここハーレムラブコメの世界じゃん」
アニメだったかゲームだったかは忘れたが、前世に見た物語と殆ど一致している。例えば俺の名前が
「フッ、てことは前世の記憶の主人公のように動けばハーレムウハウハになるわけだ!!ぐへへへ。こうしちゃおれん!今すぐ行動だ」
そして何もフラグが立つことが無く一年が過ぎだ………
なぜだぁぁぁ!!俺はちゃんと原作知識を使ってヒロインにある、めんどくせぇ事情をできる限り解決したんだぞ!!
なのになぜモテない?
いいや、諦めるな。これはアレだ。俺が鈍感すぎてヒロインからの好意に気付いて無いだけだ。そう信じよう
「な、妹よ」
俺はそう思い、学校に行く前の朝食を食べてる妹に同意を求めた。
ちなみにこの妹、
「何が『な、妹よ』なの?脈絡もクソも何も無いんだけど馬鹿なの?」
「おいカレレン。女の子がクソとかボケとかカスとか言ってはなりません。ちゃんと、おクソと言いなさい」
「黙れ、龍征」
とまぁ、ご覧の通りツンデレである。可愛い奴め。ん、見た目はどんなだって?あー、金髪ポニテ、ツリ目美人。俺に文才を期待するな。
ちなみに、この華蓮。ヒロインだけあってなんか問題があった。ああ思い出したストーカー被害にあってたんだ。
原作では異変に気付いた主人公が間一髪で襲われてる所を助けるが、俺はそんな面倒くさい事しないで華蓮の下着を盗んだ所を写真に納めて警察に突き出した。
結果は両方同じ、華蓮を救う事に繋がった。なら普通に考えて俺に原作のようにデレデレでも構わないはずだ!なのに今だにツンしか見せない。
「なぁ、華蓮。実は俺の事好きだったりしない?恋愛対象として見てない?」
「その質問10回以上聞いたんだけど?あるわけないでしょ。もう10年以上一緒にいた兄妹だよ。………まず龍征が私を女として見てないでしょ」
「何を当たり前の事を言ってるんだ?お兄ちゃんはそうあるべきに決まってんだろ」
そうだ。ラブコメにおいて重要なのはお兄ちゃんは義妹に対して本気にならない所だ。けど義妹は女と見て欲しくて悶々とするまでがセットだ」
「途中から声に出てるけど?そんな事考えてたの?」
「そうだ。説明する暇が省けた。手始めに『お兄ちゃん大好き♡』と言ってみてくれ」
「お兄ちゃん大好き♡」
「キッモ」
「死ね!」
そう言ってぶん殴られた。………なぜだ?
そんなこんな楽しい朝食を取り学校に向かった。花蓮は先に学校に行きやがった。なんて奴だお兄ちゃんを置いて行くとは。まぁ、腹壊してトイレに篭ってた俺が悪いけど。
「お?」
遅れて家を出たことによって、普段合わない奴を見つけた。そう、この世界のヒロインで俺の幼馴染の
見た目は、青髪ショートの可愛い系。ちなみにコイツとの関係は
「よう!莉央久しぶりだな!」
「話しかけないでください」
そう言って早歩きで俺の前から消えてった。
見ての通りツンどころか嫌われています。理由は簡単、実はコイツ原作知識によると小さい時誘拐されそうになるのだ。それで原作では主人公がボロボロになりながら時間を稼いで助けが間に合うって展開だったが、元々、莉央がひとけの無いところ行く不注意が招いたタネだ。
だから何かと俺は幼馴染である事を理由にコイツが大きくなるまで永遠と小うるさく「ここに行くな」とか「ここは危ない」とか、お母さんのように言い続けたら中学でブチギレられた。
当時の俺は「誘拐されて後悔しやがれ!」とか思ってたが、誘拐事件は俺の見事な注意喚起でいつの間にか終わってたらしく。平和に大きくなってた。………だって仕方ないじゃん!いつ誘拐されるか知らないんだもん!
「と、普通に考えて主人公にべったりなはずの幼馴染と義妹からモテない俺ってなんなん?なぁ、近所のおばさん」
「お姉さんお呼び、それがモテる男がすることだよ」
と、適当に近くにいた近所のお姉さんに声をかけた。天パで中年太りをおば……お姉さんと呼ぶのは些か不満があり不服でもあり嫌でもあるがモテるならそうしよう。
そう思い、俺は学校に再び向かった。
フフフ、実はな俺のモテモテ生活はまだ希望がある。なぜならこのハーレムラブコメの舞台は高校2年生から本番。そして今日5月3日のゴールデンウィーク明け、転校生!つまりメインヒロインが来る日なのだ!
フフフフ、最初が肝心だ。さてどう自己紹介したものか。え、原作の主人公と同じ行動をしろって?………君達は見た漫画やアニメの主人公のセリフや行動、全て覚えてるのかい?つまりそうゆう事だ。ほとんど覚えてない。
――キーンコーンカーンコーン
学校の姿が見えた所で鐘の音が聞こえた。
………大遅刻じゃん。
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