第3話 砂の街への道
砂漠を旅するスピリルとミルは、日を重ねるごとに互いの友情を深めていった。時折、吹く風が彼らの耳に新たな物語を運んできたが、彼らの目的地である砂の街にはまだ辿り着いていなかった。砂丘を越え、乾燥した川床を進み、数日間の旅を経て、彼らは大きな岩の山に辿り着いた。
「ここが砂の街への道だと聞いたことがあるよ」とミルは目を輝かせて言った。「この山を越えれば、街が見えるはずだ!」
スピリルは心が躍るのを感じながら、山の前に立ちすくんだ。「本当に行けるのだろうか?山を越えるのは簡単じゃないかもしれない。」
「大丈夫、スピリル!一緒にいればきっとできるよ!」ミルは力強く励まし、スピリルを前に促した。彼はその言葉に勇気をもらい、一歩を踏み出すことに決めた。
二人は山の斜面を登り始めた。砂が滑りやすく、足元は不安定だったが、互いに励まし合いながら進んだ。登るにつれ、砂漠の景色が広がり、風の音が彼らを包み込んだ。スピリルは心の中に芽生えた期待を感じていた。「砂の街、私たちを待っている!」
しばらく登っていると、突然、空が暗くなり、強い風が吹き始めた。スピリルは不安を感じながら言った。「これって、また砂嵐が来るのかな?」
「恐れずに、私たちは乗り越えられるよ!」ミルが答えたが、彼の声にも緊張感が漂っていた。彼らは早足で登り続け、風の音が耳に痛いほどになった。ついに、視界がぼやけ、周囲が見えなくなった。
「ミル、どこにいるの?」スピリルは叫んだ。
「ここだよ、スピリル!近くにいるよ!」ミルの声が彼に安心感を与えた。
風が一層強くなる中、二人は互いを信じて進み続けた。やがて、強い風が一瞬収まると、目の前に大きな洞窟が現れた。「ここに入って、嵐をやり過ごそう!」スピリルは叫び、二人は急いで洞窟の中へと滑り込んだ。
洞窟の中は、砂が積もった暗い空間だったが、風の音は少し和らいでいた。二人は息を整え、しばらくその場で待機することにした。ミルは心配そうな顔をして言った。「嵐が早く去ってくれるといいけれど…」
「そうだね。嵐が終わったら、また登り始めよう。きっと砂の街に近づいているはずだ」とスピリルは答えた。
洞窟の中で少しの間静かに過ごした後、嵐が収まる音が聞こえてきた。「行こう、ミル!きっともう大丈夫だ!」スピリルが言うと、彼は再び洞窟の外に出ることにした。
外に出ると、風は穏やかになり、青空が広がっていた。「見て、山の頂上が見える!」ミルが指をさした。
二人はその言葉に背中を押され、山を登り続けた。そしてついに、頂上に達した瞬間、目の前に広がる景色に目を奪われた。遠くには、色とりどりの砂の街が輝いていた。街の周囲には、さまざまな形の建物が立ち並び、まるで砂が生きているかのように見えた。
「私たち、ついに砂の街に辿り着いたんだ!」スピリルは興奮に満ちて叫んだ。ミルもまた、目を輝かせてその景色を見つめていた。
「行こう、スピリル!夢が叶うよ!」二人は共に山を駆け下り、砂の街を目指して進んでいった。彼らの心には新しい冒険への期待が膨らんでいた。
砂の街の入り口にたどり着くと、そこには多くの砂粒たちが集まっていた。彼らは互いに楽しげに話し、笑い合い、様々な物語を交わしているようだった。
スピリルとミルは、驚きと期待に満ちた目でその光景を見つめた。スピリルは心の中で自分の新たな物語が始まることを確信し、砂の街の中へと一歩を踏み出した。彼の旅は続く。仲間と共に新しい発見を求め、彼はこれからの冒険を楽しみにしていた。
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