ハンドレッド編その16・決戦、自衛隊駐屯地
Side 前嶋刑事、緒方 ミツル
=夜・自衛隊駐屯地内=
自衛隊駐屯地はハチの巣を突いたかのような大騒ぎになった。
彼達視点からすれば巨大ロボットや巨大怪獣が、完全武装の集団が敷地内に突然出現したのだ。
パニックにならない方がおかしい。
そしてここは普通の自衛隊の駐屯地ではない。
末端の構成員も曰く付きの問題児だらけの部隊。
駐屯地事態も真っ黒な場所だ。
『し、侵入者発見!?』
『う、撃て!! 攻撃しろ!!』
普通の自衛隊員ならともかく、侵入者は見つけ次第殺せと命令されているらしい駐屯地の隊員は容赦なくトリガーを引く。
装備も最高級で未来のSF映画に出て来そうな兵士みたいな背格好。
最新鋭の戦闘用ドローンも戦闘態勢に突入する。
『今のウチに態勢を整えて!!』
率先して前に出たのはライドセイバー三号、闇乃 影司。
アイテムボックスから赤と白のオープンカー型マシンを呼び出し、無人コントロールで内蔵された重火器を発射。魔力式非殺傷型弾にミサイル。
そして闇乃 影司も日本刀、黒の刀身に赤い刃の獄刀を取り出して次々と時代劇や漫画の剣客のようにみねうちして意識を奪っていく。
遠くの敵には金のベレッタM92F、魔力弾を発射して気絶させる。
「彼なんでもアリね」
と、ノーブルウィッチは雷の魔法で周囲を一掃しつつボヤく。
スターガーディアンも「日本の少年は多芸なのね」と言いつつ目からビームを放つ。
魔術師、退魔師も応戦し、警察、公安、自衛隊などの連合チームも態勢を立て直し、青いヘルムにプロテクターを身に纏ったガーディアンズの隊員も世界最先端の銃火器で応戦する。
「まったく、休む暇もないな」
と前嶋刑事は場違いなのを自覚しながら警察官達の指揮を執る。
緒方 ミツルも拳銃片手に引き連れたチームと一緒に応戦した。
「少々危険ですが内部に突入しましょう。情報によれば極秘の地下エリアがある筈です」
「その話乗った!」
巨大戦力が右往左往している地上を彷徨うのは危険だ。
変にウロチョロするより、頑丈な近くの地下、それが敵の本丸であってもそこへ逃げ込んだ方がいい。
それに自分達は職務を全うするためにこの場に乗り込んだのだ。
多少の危険は臨むところだと前嶋刑事は自分に言い聞かせる。
「案内します。影司くん! 念のため先行してセキリティの掌握をお願いします!」
『任されました!!』
周囲の敵を一通り片付けた闇乃 影司は動き出す。
逃げ込んだ先で敵の防衛設備にやられては一溜りもない。
多少時間は掛かってもここは万全を期す事にした。
☆
Side 藤崎 シノブ
=夜・自衛隊駐屯地内=
カオスとメカデス、そして戦闘員の攻撃を捌くシノブ。
その隙にキャロルとあきらの二人がそれぞれの宿敵目掛けて攻撃を仕掛ける。
キャロルはカオスに魔力で形成した光の剣を、あきらは日本刀型のブレードでメカデスに斬りかかる。
その間にシノブは邪魔になりそうな敵を次々と蹴散らす。
近くの敵は素早く手に持った雷を纏う魔法の刀、紫電で斬り倒す。遠くの敵は魔法で纏めて吹き飛ばす。
『俺は忘れんじゃねえ!!』
その隙を突いたつもりなのか赤霧 キョウマが全身から砲弾を撒き散らしてくるが、戦闘員の群れに飛び込み、巻き添えを誘発させる形で避ける。
『うぉおおおおおおおおおおおおおお!?』
自棄になって周囲の被害も構わず、攻撃の嵐を撒き散らす。
それでもシノブは平然としていた。
『レオシュート!!』
遠くでアルティアスと戦っていた、ヒロイックな巨大ロボ型の怪人が光線技で倒される。
タフな怪人なのか、元の人型サイズになってゴロゴロと赤霧 キョウマの前に倒れ込んだ。
『丁度いい!! お前も俺の糧になれ!!』
『なっ、えっ!? ちょっ、ちょっと!?』
そのロボット型も、ショッピングモールで戦った戦車型と同じように吸収。
更なるパワーアップ。
より大型化、肥大化する。
今の赤霧 キョウマは全身武器の塊で空中に浮かび、四mにまで肥大化していた。
背格好も背中の翼に二門の大砲、両肩、両腕、両足、胴体の砲身。
剣に盾。
悪のスーパーロボットと言った感じだ。
『もう人の心とか無いんだな』
『うんなもんが何の役に立つ!? お前らを潰せりゃそれでいい!!』
そう言ってエネルギー弾や砲弾、ミサイルを撒き散らし、剣で斬りかかるべく接近してくる。
シノブはその場に留まり、最小限の動作で躱し、まるで残像であるかのように攻撃が擦り抜けた。
手に持った刀、紫電を紫色の鞘に納めて、両目を瞑る。
『死ねぇえええええええええええええええ!!』
思いきり赤霧 キョウマは剣を振りかぶる。
シノブは動かない。
遠くから見ていたあきらも、キャロルも、メカデスもカオスも目が離せないでいる。
巨大な剣は振り下ろされた。
地面が砕かれ、大きなクレーターが出来る。
シノブは何時の間にか、赤霧 キョウマの背後に立っていた。
鞘には刀が納められたままだった。
『どこだ? どこに消え——』
赤霧が握る剣が上下に両断。
それだけでなく、体中に遅れて何度も斬撃の火花が散った。
『あっえ——えっ? えっ?』
赤霧 キョウマは——何が起きたのか理解できなかった。
気が付いたら握っていた剣が折れて、全身を斬り刻まれた。
その場で通常形態になり、膝立ちになる。
(凄い剣だ……僕も剣には力を入れてるけど——)
戦慄する桜井 あきら。
藤崎 シノブの凄まじい実力を感じ取った。
(ほんとスゴッ……漫画の侍みたいなのって本当にいるんだ!!)
内心凄い物を見たと目を輝かせるキャロル。
(まさかこれ程とはな……)
戦いを中断してメカデスも先程の一連の出来事を思い出し、背筋が凍る感覚が噴き出る。
先程の異次元空間でパワーアップしていた状態だったとしても結果は然程変わらなかっただろう。
(ライドセイバーが強いのは知っていたが……)
確かにライドセイバーは強い。
宇宙犯罪組織ジャマルの最終兵器を多少手古摺りはしたが、ほぼ完封したと聞いている。
だが想像以上だった。
『なんだアレは?』
皆戦慄しているその時。
次々と駐屯地から巨大化した怪人が出現を始める。
巨大化した怪人はそのまま日本橋へと続く巨大なリング型ゲートへと向かう。
『まだだ!! まだ終わっちゃいねえ!!』
赤霧 キョウマは超加速を起動してその場から逃げおおせる。
シノブは追おうとしたが巨大化した怪人の攻撃が上手いこと両者の間に挿し込むように着弾し、逃してしまう。
☆
Side 谷村 亮太郎
=夜・自衛隊駐屯地某所=
銃撃爆音。
何かが破壊される轟音。
大きな火花が散り、巨大な物体同士がぶつかり合う大気の振動、地面の揺れ。
谷村 亮太郎は双剣を構えながら宇宙犯罪組織の大幹部、キングライオスと対面する。
相手も逃す気はないらしい。
「これで勝ったと思うなよ!! 日本橋は先遣隊を差し向けて既に疲弊している!! そこへ百体の巨大化した怪人が送り込まれる!! 恐怖の大王、アンゴルモアは復活し、キング・ジャマル様の全宇宙支配は早まることだろう!!」
などと大迎しくスピーチするキングライオス。
手に持ったトマホークで襲い掛かる。
早い。
だが亮太郎にとっては遅い。
軽々とトマホークを剣で弾く。
両者ともに激しく武器をぶつけ合う。
『一つ聞きたい。先日の一件で日本政府とジャマルの縁は切れたと思ったが、どうしてまだ協力関係にある?』
武器をぶつけ合いながら亮太郎は尋ねる。
「お前ら地球人は本当に愚かだよ。我々と言う外敵を相手にしても尚、一致団結も出来ずにこうして仲間割れをしている」
つまり、日本政府にはまだジャマルのシンパがいるのだろう。
フュチャーテック事件の須藤 正嗣や少女A事件の権藤 セイトの様な奴が。
「なあに、お前達は我々が滅ぼしてきた惑星と同じ運命を辿るだけだ。可哀そうになぁ、恐怖の大王を折角封印したのに、それが原因で滅びることになるなど」
『成程。政治家連中は異世界リブラリアに逃げ込んで滅びを回避するつもりか』
「ククク、何処の星にも腐った役人と言う奴はいる物だ」
曖昧な感じにキングライオスは肯定した。
亮太郎の予測は当たらずとも遠からずと言った事だろう。
一旦距離をとり、構える亮太郎。
『お喋りはここまでだ。決着を急ごう』
「俺を倒すつもりか? 馬鹿め!!」
同時に次々と——銀色の鎧を身に纏うジャマルの怪人が二体現れた。
亮太郎は速攻でケリをつける。
またジャマル空間に引き摺り込まれる前に。
擦れ違いざまに二体をバラバラにする。
背後で爆発。
続いてキングライオスへと向かう。
心を鬼にして連撃を叩き込む。
「なっ、なにが……」
気が付けばキングライオスの背後にいた亮太郎。
何かをされたのは何となく理解できたらしい。
そのままキングライオスの全身から火花が散り、その場に倒れ込んだ。
谷村 亮太郎の実力は藤崎 シノブに勝るとも劣らない。
彼がその気になれば当然の結末であった。
ちなみにキングライオスはまだ生きている。
地球人の自分達はただでさえ、宇宙犯罪組織ジャマルの情報が不足している。
デスター司令も捕えてそれなりの情報は得ているが、相手は宇宙規模の犯罪組織。
情報は多いに越したことはない。
『さて、拘束したら応援に向かいますか』
そう言って亮太郎は視線をゲートの方に向ける。
日本橋もマズイ状況らしいが、百体の巨大怪人の進撃を止めないとまずい。
日本橋は50m級の怪人からすればとても狭い。
三分も経たずに街は破壊されるだろう。
『うん?』
索敵系スキルに引っかかる。
どうやらこの地にも日本橋の方にも騎兵隊が到着したらしい。
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