p21

腕を掴まれて、その力に敵わない。


「…やめて、ください…っ。」


「可愛いじゃん♪一緒にネカフェでも行こうよ〜。」


「…嫌、やめて…。」


なんで、こんな事ばかり。

掴まれた腕が痛くて、振り解けない。


「アタシの大事な子に触ってんじゃないわよ!気持ち悪いわね。」


グッと、男の人の腕を強く掴むのは勇里さんだった。


「あ?オカマ?キモいのはてめぇだろ。放せや。俺は今かわい子ちゃんと話してんだよ。」


「キモいのはどっちよ。この子はアタシの友達よ。放しなさい。」


男は痛みに顔を歪めた。


「…い、いでででで!んだよ、てめぇ!腕!まじで折れるから!やめろって!」


「折られたくないなら、早く立ち去る事ね。」


「…こんの!馬鹿力が!オカマがかわい子ちゃんと友達?まじあり得ね。もういいわ。」


勇里さんが手を離すと、男はささっと立ち去った。


「大丈夫?怪我とかしてない?」


いつだって、勇里さんは私の味方だ。


「ありがとう。また助けてもらっちゃった。何かお礼がしたいな。」


「あなたが無事ならそれでいいのよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る