p8

「ひどいでしょ?だから死にたかったの。でも、海果みかちゃんと友達になれて、生きるのも悪くないなって、思えたわ。ありがとう。」


弱々しく笑うから、私は勇里さんを抱きしめた。


「無理して笑う事ないです…。泣いてもいいんですよ?今度は、私が勇里さんを助けたい…っ。」


勇里さんは私の背中に腕を回した。


怖くない。酔っ払いに触られた時はすごく怖かったのに、勇里さんだから怖くないよ。


「…ありがとう、本当にありがとう。」


ひとりにしたら、死んでしまうんじゃないか。そんな不安が頭を埋め尽くした。


「勇里さん、良かったら、連絡先教えてください。メールとか、したいです。」


連絡先を交換して、勇里さんは立ち上がる。


こんなにも綺麗で優しくて、見ず知らずの私を助けてくれて、彼氏さんに浮気されて死のうとするくらい、彼氏さんを愛していて。


ここまで誰かを愛せるなんて、なんだか少しだけ羨ましくて。


「家まで送るわ。この辺は酔っ払いがいっぱいで危ないから。」


家まで送ってもらっちゃいました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る