1.オネェさんとの出会い

p2

私は熊ヶ谷くまがや海果みか16歳。


10年前まで母子家庭だったけど、ママがパパと結婚して現在3人で幸せに暮らしてる。


幸せだけど寂しいと思うのは、友達がいないから。

私は内気だし、勉強もスポーツも苦手で、うまく友達が作れずに、気付けば高校生。


クラスカーストで言うなら三軍女子だ。


高校入学後は、両親に心配をかけまいと友達がいるフリをして、たまに放課後は、友達と遊んでから帰ると嘘を吐く。


そして今日も友達と遊ぶ帰り…と言う設定で、私は夜道をただ彷徨っていた。


「…友達、欲しいな。」


ポツリ呟いて歩いていたら…。


「おねぇちゃん、可愛いね〜♪ひとり?」


酒に酔った30代?くらいの男に声をかけられた。


「一緒に遊ぼうよ〜。」


酒くさい…。

ネックレスもブレスレットもたくさんして、茶色の髪は長く片方だけ耳にかけていて、そこから何個ものピアスが見えた。


チャラそう。


軽々しく肩に腕を回され、私はうつむく。


「近くにカラオケあるんだけど〜♪」


抵抗する間もなく引っ張られて路地裏へ。


「あ、もしかして、カラオケよりホテルがいい?」


この人は、身体目当てなんだろうか。そうだろうな…。怖い…。


「君可愛いし、買ってあげてもいいよ?」


買う⁈私、娼婦しょうふじゃないんだけど…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る