Sランクに勝っちゃう?



Sランク冒険者は、目の前で次々と繰り出される水属性の連携技に対し、焦りの色を浮かべながらも冷静さを失わず、なんとか耐えしのいでいた。その表情には、彼自身も予想外だったレイの力を感じ取っている様子が見える。


「これが本気か?なら、俺も手加減はしない!」


冒険者がそう叫ぶや否や、彼の手元に小さな火の玉が浮かび上がり、瞬く間にそれが巨大な火柱へと変わっていった。まるで炎の渦がレイたちに襲いかかるかのように猛威を振るう。


「フィン、リヴィア、ナイア、連携を!」


レイは即座に指示を出し、三体の精霊たちも素早くそれぞれの位置についた。フィンはレイの前に立ちはだかり、冷たい水の壁を生み出して火柱を防ぐ準備を整えた。リヴィアはその壁をさらに強化し、水の流れを加速させて相手の熱を奪う。ナイアは背後に控え、急激に水の力を集中させて攻撃の準備を整える。


「フィン、全力で冷やして!」


フィンの力が水壁に伝わると、火柱は徐々に勢いを失い、霧となって消え始める。そして、その瞬間を逃さず、リヴィアが水の刃を放ち、ナイアが鋭い水流を伴って炎の余熱をかき消した。


「やるじゃないか…だが、それで終わりじゃないぞ!」


Sランク冒険者はさらに次の攻撃を繰り出そうと構えたが、レイの精霊たちはすでにその先手を打っていた。フィンが勢いよく前に進み、敵の注意を引きつける一方で、リヴィアは足元の水を一瞬で凍結させ、相手の足の自由を奪おうとする。


そしてナイアが最後の仕上げに、上空から圧倒的な水流を降らせて追撃する。水流は相手の全身を包み込み、彼の動きを完全に封じ込めた。


「…これが、俺たちの全力だ!」


レイは冷静に、しかし決意に満ちた声で告げた。


Sランク冒険者は水の拘束から脱出しようと必死にもがいているが、フィン、リヴィア、ナイアの三体の精霊たちが放つ水の力はあまりにも強力で、次第に力を削ぎ取られていく。水の壁に阻まれ、逃げ道を失った相手の顔には、わずかな焦りが浮かび始めていた。


「ここまでやるとはな…精霊使いとして、俺もお前を侮っていたようだ」


敵は、ようやく降参を認めるようにその場に立ち尽くした。レイは安堵の息を吐き、彼の目には確かな成長の証である自信が輝いていた。


「これで一歩、前進だな…」


レイのつぶやきに応えるように、フィン、リヴィア、ナイアの三体の精霊たちも、静かに頷くような気配を見せていた。


こうして、レイは精霊たちとの絆をさらに深め、強力なSランク冒険者との戦いで得た成長を噛みしめた。まだまだ道のりは遠いが、彼は着実にその力を磨き、さらなる冒険へと歩みを進めるのだった。

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