紛争地帯へ



王宮の庭で、レイは騎士団の長官に真剣な眼差しで申し出た。


「どうしても、国境の紛争地帯に行かせてください。僕はまだまだ未熟だし、もっと力をつけたいんです。」


長官は驚いた表情を浮かべ、しばらくレイを見つめた後、低い声で尋ねた。


「それはお前が望むことか?紛争地帯は生易しい場所ではない。経験豊富なSランク冒険者でさえ、命を落とすことがある。若さゆえの無謀な行動であれば、今ここで引き返すべきだ。」


レイは一瞬、言葉を飲み込んだが、決意を込めて再び口を開いた。


「覚悟の上です。僕は今まで、精霊との契約に頼ってばかりで、守りたいと思っても実力が伴わずに何もできなかった。もっと強くなって…自分自身で人々を守れる力を手に入れたいんです!」


その強い意志に、長官も静かにうなずいた。



こうして、レイは自らの意思で国境へと向かうこととなった。紛争地帯に近づくにつれ、彼は戦場独特の緊張感に飲み込まれる。遠くには廃墟が広がり、無数の戦闘の跡が、ここが過酷な争いの舞台であることを物語っていた。


「レイ、しっかり集中しろ。この場所では、気を抜けば命取りだ。」フィンが真剣な表情で声をかける。


「分かってるよ、フィン。でも、だからこそ…ここで得られる経験があるんだ。」レイは気を引き締めて、精霊たちとの連携に意識を集中させた。


周囲に気配を張り巡らせ、いつでも戦闘態勢に入れるよう準備を整える。その視線の先に現れたのは、他国のSランク冒険者たち。彼らは、重厚な装備に身を包み、明らかに戦闘慣れした姿でこちらをじっと見据えていた。


「君が噂の精霊使いか。三体もの精霊を従えているとは驚きだが、実力を見せてもらおうか。」


レイは精霊たちに呼びかけ、彼らとの連携でさらなる力を発揮しようとする。そして、ただの戦いではなく、生死を賭けた試練がいよいよ始まったのだった。

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