第2話 親友の声「打てメロス!」

 2−2。

 点こそとったものの、4回まで無得点が続いた。4回ウラで相手チームが1点を取り、遂に逆転された。

 2−3。

 メロスがバッターになった。さあ! 打てメロス! 芹那の声がとぶ。

「打て! 打て!」

 観客席で声を張り上げるのは、ヤマムラ氏。ライバルであり親友だ。会社の予選会でメロスに負けた、盗賊のような存在だ。

「頑張るんだ! メロス〜!」

 ヤマムラの叫びに答えるかのように、メロスはバットを振り、観客席の緑を向いた。あの、懐かしき黒板の緑——。

 風を切る音。

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