第37話

家から病院に行くまで家でたくないでてたまるか

      重い身体を引きずる毛布を引きずる脚を

  熱とかゆみが止まらない妄想の渦

      風邪を引いて気づかないふりそして心の風邪を引いて吐く

  天上が頭上に落ちてきて重力で頭と眼球が破裂した心臓が悲鳴をあげる

    怒鳴り散らす父怒鳴り返す母

    気休めに薬を飲む

  雨の音、激しい雨の音、滝の音

           声を聞きながら途方に暮れた

    血が鏡に飛んだ

                           幼い私、お休み

  嫌だから逃げた、今度は新しい何か私を苦しませた、逃げても同じだった

      頭の中で迷子になった、でてきて、こっちだよ


          麻酔銃で殺して?

  

  頭大丈夫かな、壊れてない? 私壊れてない? 誰か安心させてよ

  天使のラッパで頭を殴られる。星が飛ぶ。火花散る

   脳みそが溢れだして、目眩がする



頭の中のヤギが脳みそを口散らかす、むしゃむしゃむしゃむしゃ咀嚼する全て食い尽くされて泣きそうになって頭のなかは空っぽだ




 ちゃんと人間でいれるかな     ちゃんと人間でいれるかな、                 ちゃんと人間でいれるかな




   虫に生まれたかった


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