第5話
窓の外を見た。
何か人の影のようなモノがいる。
「なんだろ……人、だよね」
しばらく動く影を眺めていた。
すると、影はこちらに顔を向けてきた。
ぞわ
楓は影を見つめ続けた。
影は楓の方に走ってきた。
鳥肌が立つ。
「こっちくる」
影がどんどん、どんどん近づいて来ている。
手を胸の前で握りしめ、
楓は玄関の方に走った。
窓ガラスが割れた音が、後ろから聞こえてきた。
楓が後ろを振り返ると影が――いた。
「なに……あれ」
人間ではない。影だ。
影としか言えなかった。それ以外に形容のしようがない。なんなのか分からない。見たことが無い。闇の塊。得体の知れない。何か。
怖い。
見た瞬間、その感情が胸に広がった。
逃げなきゃ。
そう思ったとき、階段からもう一つの影が飛んだ。
それは、窓ガラスを割った黒い影を黄色い三日月型の剣で斬った。
斬られた影は霧散した。
その光景を見ていた楓は後ずさり、一目散に走りだした。
「なにあれ、なにあれ、なにあれ。黒い影が向かってきて、それをもう一つの影が… …」
楓は上履きのまま玄関を出た。門を出て、校舎を振り返ると、剣を持った黒い影がこちらを見ている。
「殺される」
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