お下がりのかぎ針握った初心者はかせくり回して羊の夢を

おさがりの かぎばりにぎった しょしんしゃは かせくりまわして ひつじのゆめを


 編み物をしようと思うと、大体皆かぎ針編みから始める。我が家にも何故かかぎ針が一本だけあって、それは今でも使っていたりする。


 かぎ針で小物を色々編み、そのうち服を作ろうと思うと棒針も使い始め、ついでに付け替え輪針だの五本針だのあっちのメーカーだのなんだのと道具にこだわり出し、毛糸玉じゃ飽き足らずかせ糸(巻いていない状態の糸で、編み始める前に自分で毛糸玉を作る。基本、量が多い)とかにも手を出す。

 かせ糸を毛糸玉にするのに、「かせくり器」と「玉巻機」という道具を使う。使わなくてもできるっちゃあできるんだが、あると作業効率が全然違うのだ。あと単に玉巻くのが楽しい。


 気がついたら何年も編み切れないくらいの毛糸が家にある。可愛いと買うのでどんどん溜まるのだ。福袋とかも買うし。


 この編み切れない糸を界隈では「罪庫(在庫)」と呼ぶ。


 ここまでは普通だ。普通の編み物が趣味の人なのだ。


 編み物ガチ勢は割と羊とかヤギとかを飼っている。

 自分で毛狩りをし、洗い、染め、紡ぎ車で端正に糸をつむぎ、そして編むのだ。とんでもない。

 いつかはそうなりたい。

 お蚕様も飼ってみたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る