イワシダンシングの実験金魚 秋待諷月様

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 https://x.com/gengetsu_af/status/1865387440388931614


 一行目を読んで、僕の思考は固まった。まな板の上のイワシのごとく、固まった。当然、このレビューの方向性は未だ固まっていないのだけれど。

 だって、イワシ・ダンシング・実験・金魚だよ。単語が単語単位で渋滞を起こしている。しばらく、この渋滞は動かないだろうと見越して、道路の真ん中でタンゴでも踊ろうというのか。

 『』も含めれば、十五文字。一文字一秒かけて反芻してみても、まったく掴みどころがない。いや、掴もうと思えば掴めるのだけれど、それら全ての単語を一度に覆いきれるほどの網を、生憎と僕は持ち合わせていない。僕の返答は「」も含めれば、五文字。問いかけのわずか三分の一の文字数で返す言葉は、言い換えれば 分からない の一言に尽きるのである。勿論、ここまで書いておいてなんだけれど、僕もなぜこんな文章を書いているのかも、分からない。衝動的な何かに突き動かされているのかも知れない。( ゚д゚)ハッ! イワシダンシングの実験金魚が何か知りたくなっているのか……⁉

 知らないなら良い……? そんなフリをされてしまっては、余計に知的好奇心が疼いて仕方がなくなるじゃないか。ちょっと待て。話を途中で切り上げるんじゃない。お前からふってきた話題だろ。ゼミ室に入る前に、(俺の脳内で、絶賛タンゴを披露中の集団)をどうにかしてくれよ。情熱的過ぎて、脳裏に焼き付いて離れないんだよ。魚焼きグリルに引っ付いたイワシだよ。……自分で書いてて、もう意味が分からなくなってきたよ。

 蛇の回転と聞くと、互いを喰いあう蛇「ウロボロス」がぱっとイメージされるのだけど、何気に僕は初めて聞く単語だったから(ん?)調べてみたよ。あぁ、勿論単語は気になったけれど、タンゴは踊っていない。さすがにそれくらいの冷静さはまだ保っている。シロクマ実験も勿論、調べたよ。なんか、この先書こうとした文章を先回りされている気分になった。「タンゴのことは考えないでください」と言われる度、どうしてもタンゴが頭をよぎるんだ。つい数行前まで冷静だった僕はどこへ?

 よし、一旦深呼吸だ。ページも切り替わったことだし(ん?)改めて整理して考えてみよう。

 ここにまっさらな白い画面があります。文字を打つたびに黒く塗りつぶされていくこの画面です。まな板と捉えてもよいかもしれません。

 本日のネタはイワシダンシングの実験金魚です。……ふむ。やはり、分からない。どれだけ冷静に考えても、思考のスパイラルに囚われているようだ。

 しかし、困った。本日のおすすめ と掲げているだけに、このまな板の上に置かれたイワシダンシングの実験金魚は、どうしても調理しなければならない。

 そうだよな、やはり魚焼きグリルだよな。図らずも、先に触れた魚焼きグリルが登場したことにほんの少しガッツポーズをしつつも、事態はそんなことでは好転しない。どころか、どんどんと鮮度を失っていく。おすすめをおススメできなくなってしまう。くぅ……このイワシダンシングの実験金魚……どう調理すれば……スパイラルが無限ループしてる……なんて、訳が分からない状態でくねくねしていると……。

 おっと、ちょいとそこの通りすがりのお兄さん。今ならガリのサービスしちゃうから、一つ質問良いかな? もし、答えられたら今日のお勧め、タダで食べさせてあげちゃうよ!

「なぁ、『イワシダンシングの実験金魚』って知ってるか?」

 あー、ちょっと兄ちゃん。そんな、初めて深海魚を見た時に、そのあまりのグロテスクな見た目に衝撃を受けたような目で僕を見ないでおくれ。……いや、でもそれが正しい反応なのかもしれないな。

 もう、客も来ないだろうし。今日はこの辺で店じまいかな。

 そういや、明日の仕込み誰だったっけ? この『イワシダンシングの実験金魚』、空気に触れないように、ラップ巻いてタオル巻いて熟成させておこうっと。

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