呪われた僧侶

ルルル

第1話

「あった。あの石像か·····」


 とある魔物が封印されている石像·····その様子を見てきてほしいと言う近くの村から依頼。私はそのためにここに来た。

 封印されてるとは言え、ここまで禍々しい魔力が伝わってくるとは、一体·····この封印されている魔物は何なんだろうか?。


 私は石像に触れた。

 封印が解けかけている·····。依頼者からの話によれば三十年ほど前までは封印の様子を見に来ていた者がいたそうだ。

 時には逆らえなかったという訳か。


 かけられている封印の強さから見るに、きっとこの魔物は封印をせざるを得ないほど強い魔物だったのだろう·····そんな魔物をただの僧侶の私が倒せるわけがない。

 かと言って封印を重ねても意味があるのだろうか·····もしかしたら今の時代ならばこの魔物を倒せる者がいるかもしれない。


 今の私ができる範囲の封印をしこの魔物を倒せる者を見つけてくる·····いや、元が強力な封印とは言え私の封印による延命などたかが知れてる。

 絶対に間に合わない。


「〈再封印〉」


 ここは私の全魔力を持って封印を延長させることにした。それと同時に私は誓う、この身尽き果てるまでこの封印を維持し続けることを。


「背筋が凍るほどの魔力の揺らぎ?」


 封印の完了と共に私の身体に走った謎の違和感。それは全身に寒気が行き渡る程の嫌悪感、そしてこの場からすぐに去りたい程の恐怖。

 これら全てはこの魔物に封印をした瞬間から始まった·····。

 この魔物の正体は一体·····。

 ──それは私がその場から足早に去ろうとした時だった。


「!!」


 全身を駆け巡る激痛。

 私はあまりの痛さに耐えられなくなり地面に倒れた。心音が早くなる、息がしづらい、苦しい·····。私の最後の記憶は·····全身の骨が折れた瞬間の喉の奥底から出た悶絶の叫びを上げた瞬間。

 そう·····私の最後の記憶はそこだ。



 ◇



「一体あの痛みはなんだたのだろうか·····」


 飛んだ意識が戻った。

 それと同時に起き上がれないほどの全身の痛み、私は地面に倒れたまま空を眺め続けた。

 ──痛みが治まり始め、上半身を起こすことが出来るほどまで回復した。


「一体何時間寝てたのだろうか。体に違和感は·····なさそうだな」


 私は動く上半身を使い、地面を這いずりながら木にもたれかかった。

 まだ下半身は動きそうにないな。

 早く痛みが治まれば良いのだが·····。


 ──しばらく木にもたれかかっていた。

 だいぶ下半身の痛みも引いてきた。これなら立って歩く事はできそうだ。

 ──私は立ち上がった。立ち上がった瞬間、少しよろめいたが無事立ち上がることができた。


「再封印の時以外は近づきたくは無いのだが、ちゃんと封印できてるかも不安だ。あの魔物がちゃんと封印できているか確認してから帰ろう」


 私は地面に落ちたカバンを拾い上げ、封印した魔物の元へ向かう。

 ──私は封印した魔物に触れた。

 うん、元の封印の上に私の封印も重ねられているな·····この感じならば十年は持つだろう。


「封印はしてあるはずなのだがな、漏れ出る魔力のせいなのか萎縮してしまうな。この魔物を封印したお方はどんな人だったのだろうか·····」


 私は封印の確認を終た。

 でもまだ仕事は残っている。

 再封印をしたことを依頼者様にお伝えしなければな。

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