貴方に届いたメール

 件名:家族になりませんか?


 はじめまして。突然のメールで失礼いたします。

 私は都内でシステムエンジニアとして働く白鳥ましろと申します。

 男ばかりの職場で、残業続きで、気がつけば家に帰っても独りきり。

 この数年、人と食事を共にした記憶すらほとんどありません。


 そんな折、古い知り合いから『くろみやれい』という存在のことを聞きました。

 『鬼の話』と呼ばれる祝詞を唱えれば、くろみやれいが来て家族になってくれるのだと。幸せになれるのだと。

 最初は馬鹿げた話だと思ったのですが、不思議と、その言葉が頭から離れません。

 正直に言えば、私も“家族”というものを心から欲しています。

 もし、あなたも孤独を抱えているのなら……一緒に呼び出してみませんか?

 私たちが『くろみやれい』と家族になれば、もう寂しくないと思うのです。


 これは冗談や怪談の類だと思っていただいても構いません。

 でも、もし少しでも共感してくださるなら、このメールに返事をください。


 祝詞の言葉を、私、もう覚えてしまいました。貴方も憶えています。


 最初に教えましたから。


 貴方とも家族になりたくて、これだけ沢山資料を用意しました。


 一緒に唱えてくれる人を探しています。


――――――――――

◾◾ ◾◾

株式会社◾◾◾

システム開発部 第三グループ

Mail: ◾◾@example.co.jp

Tel: 03-◾◾◾◾-◾◾◾◾

――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る