とある探偵の遺品から見つかった録音ファイル

探偵「約束の人物が見つかりました。□□県立病院に『くろみやみさき』という人物が二人入院しています。一人は十五歳、もう一人は三十五歳。お探しの方はどちらですか?」


男「うん、上出来だね。二人同時に見つかるなんて運が良いよ」


探偵「では報酬は頂けるんですよね?」


男「あげるよ。俺は嘘が嫌いだからね」


 重そうな物が机に乗る音。


男「ほら、早く持っていきなよ。君に残された時間なんて、もう殆どないんだからさ」


探偵「お前……何を言って……」


男「俺さ、常々思うんだけど人間って視覚情報に縛られ過ぎだよね。人は見た目が九割なんて言葉は大袈裟にとらえがちだけれども、実際にそうじゃないか。だってピンチの際に、身なりが整ったスーツの男と、金髪の不良ポイやつが現れたら大抵の人間は前者を選ぶだろう?」


(五秒間沈黙)


男「そして、貴方も同じだよ。探偵さん。金に吊られて、欲に溺れて、結局、貴方が辿り着いたのは蟻地獄の中だ」


探偵「おい、待て!」


男「じゃあね、みさきちゃんを見つけてくれてありがとう。良い余生を」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る