作者からの挨拶

 ……県、……郡、■■■■村を訪れてはいけない。探してもいけない。

 なぜならば『鬼』に連れて行かれるから。



*



 皆様、こんばんは。

 白鳥ましろと申します。


 2022年、私の同僚……というより友人である柳沢さんから、あるUSBメモリーを渡されました。その中には■■■■村にまつわる資料と、友人が書いた小説のプロット……あらすじ、が入っていました。


 友人によれば、この物語は『鬼の話』を元に作ったそうです。『鬼の話』とは、聞くと呪われる類の話だそうです。

 具体的にどのような話なのか調べてみましたが、結局、分かりませんでした。なぜならば被害者の体験談には、皆、「鬼の話を聞いたことは覚えているけど、具体的な内容は覚えていない」と語っていたからです。


 私には『鬼の話』を聞いた覚えがありません。しかし、現在、私の周りでは科学的に説明がつかない現象ばかり起きています。


 そこで、同じような現象に巻き込まれ方の体験談について調べてみたところ、皆、『鬼の話』を聞いてしまったことが原因だと言っていました。


 私と友人、二人とも、もう既に『鬼』の話を聞いてしまいました。友人は姿を消し、私にも時間がありません。


 しかし、『鬼の話』は、わざと脚色してから他人に伝えれば無効化できるそうです。


 ですから友人は『鬼の話』だと思わしき話を集めて、ホラー小説という形にまとめてくれました。


 これから語るのは、友人から託されたプロットも元に執筆した小説、USBに収められた資料、私が個人的に集めた資料の計三つです。


 私の話を聞いて下さい。

 私の話を伝えないで下さい。

 私を助けて下さい。

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