第1歩 ほんの数年前のこと
「ローマン様、ローマン様、お聞かせください、ローマン様。」
「んぅ…もう少し寝る…シエスタする…。」
「お戯れはおやめ下さい。大切な話です。」
「…はぁい。」
くゎ、と、大きな欠伸をして、既に身を整えている
「んで? なんの話?」
「ローマン様は、「MOE」がお分かりですか?」
「…
「はい、もちろんです。」
なんかとんでもない言葉が聞こえた気がする。昨日まで日本に居たから、何か毒されているかもしれない。
天皇と教皇の住まいと警備は特上も特上だが、仕事量も特上も特上である。長く、より多くの仕事を、彼だけが行えるので、その健康のために選ばれる食材と料理は、清貧そのものである。
時代によって得られる栄養や求められるカロリーが異なるため、それなりに食事内容は変わっているが、言うほどお貴族さまな生活はしていない、というより、出来ないことはもっと知られたい。
他愛のない話をし、僅かな「信仰との向き合い」の中に、安らぎを覚える教皇フランシスコは、保守派との衝突が耐えない。それでも信念を曲げずにいるのは、このような時間があるからだろう。
「美味しかった。主の平和。」
「はい、主の平和。」
手を合わせ、
「3分間待ってください。」
「しかしそうしますと…。」
「私が40秒ずつ移動を早めれば、5分は戻るはずです。そのように手配をしてください。」
「…わかりました。」
渋々、
「ローマン様、「MOE」について、お教え下さい。」
「とりあえず「萌え」のことだってことは分かった。」
ローマンは少し頭を抱えた。しかし教皇は必死である。
「とりあえず、理由を聞いても?」
「それは、これからを担うのは、若い人々だからです。」
その言葉の裏には、保守枢機卿たちへの疲れが見えた。
「
「そうなのでしょうか?」
「日本で売るんでしょ? どうせ。」
「はい。2025年の大聖年にある、大阪万博で。」
思わずローマンは吹き出した。
「いつくしみと希望の時代を伝えるために、我々バチカンは、ポップカルチャーにも歩み寄るべきです。同性婚や女性司祭よりも、そうでない今の人々にも目を向けなければ。」
「ウン、ソーダネ…。」
「枢機卿の担当者は決めてあります。しかしその前に、私に「MOE」を教えていただきたい。」
若さ故に死を選ぶ若者たちにいのちを。
無知故に絶望する若者たちにきぼうを。
孤独故に孤立する若者たちに慈しみを。
イエスは待っていなかった。十字架の運命以外には。
イエスが訪ねていったように、
Alleluia MOEluia BLuia! ベネディーカト・ミャクミャク・エトセトラ #Luce PAULA0125 @paula0125
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