エピローグ
学園に入学してから、3年が経った。
今日は、私たちの卒業パーティーが開かれる日である。
控室でドレスに着替え終わった私を、ロイド様が迎えに来て下さる。
「ティアナ、準備は出来たか?」
「ええ」
ロイド様から送られたドレスを着て、ロイド様に微笑みかける。
「ティアナ、とても似合っている。綺麗だ」
ロイド様はそう仰って、私の頬に口付けた。
「ロイド様・・・!?」
「これでも我慢したんだよ?口にはしなかったんだから」
「そんなの
私は頬を膨らませる。
そして、ロイド様と顔を見合わせて笑い合う。
こんな幸せが来るなど、前の人生では想像も出来なかった。
「さぁ、会場に向かおうか」
ロイド様が私に手を差し出す。
私はロイド様の手にそっと自分の手を重ねた。
会場に着いた私たちは、他の学友と話をしたりとそれぞれパーティーを楽しんでいた。
会場の真ん中で卒業生ではないのに、沢山の人たちに囲まれている一人の女子生徒。
私はその女子生徒に、話しかける。
「リアーナ、ちょっといいかしら?」
リアーナは少しだけ戸惑った後、私の後を着いてバルコニーまで訪れる。
「・・・何の用ですか?」
リアーナがそっぽを向いて、頬を膨らませる。
「リアーナ、私、ロイド様を愛しているわ。貴方にはちゃんと伝えたかったの」
リアーナが私の方に向き直る。
そして、可愛く頬を膨らませた。
「あら、私はお祝いの言葉なんて言わなくてよ!」
そう述べた後、リアーナは少しだけ微笑んだ。
「ねぇ、お姉様。私、ずっと愛に飢えていたの。勿論、もう考えは変わってきている」
「でもね、ずっとずっと寂しかった」
「そんな私に愛を教えてくれたのは、他でもないお姉様ですわ」
「・・・なんて、もう二度と言って上げませんけど!」
リアーナがバルコニーを出て行こうとして、振り返る。
「・・・お姉様なんて、好きじゃありませんから!」
そう述べて髪をなびかせ、バルコニーを出て行ったリアーナはまさに聖女のように美しく、私の可愛らしい妹そのものであった。
会場に戻った私に、ヴィーク様が近づいてくる。
「ティアナ嬢、卒業おめでとう」
「ヴィーク様こそ、卒業おめでとう御座います」
形式的な挨拶を済ませると、私たちは顔を見合わせる。
「さ、ロイド殿下があそこで待っているよ。行って差し上げて」
ヴィーク様が私の背中をそっと押す。
私はロイド様の方へ歩いて行く。
「ティアナ、パーティーは楽しめたか?」
「ええ、とっても」
「ティアナ、一つ君に言いたいことがあるんだ」
ロイド様はそう仰ると、その場で膝をつき、私の手の甲に口付けをした。
「君を一生愛することを誓おう。私と結婚して欲しい」
涙が溢れそうになるのをぐっと
「もちろんですわ」
その瞬間、会場から大きな拍手が起こる。
ロイド様が立ち上がり、私の耳元に顔を寄せる。
「卒業パーティーの嫌な記憶は塗り替えられた?」
そう仰って、ロイド様は少し不安そうに微笑んだ。
「もう、『目の前』のロイド様しか見えませんわ!」
私はロイド様に抱きついて、口付けをした。
「これから共に幸せな思い出を作りましょう?人生はまだまだ長いのですから」
そう述べて、ロイド様に微笑んだ私の顔はきっと今までで一番美しい。
明日も明後日も貴方と共に過ごしたい。
ただ明日も貴方の笑顔が見られることを願っている。
そして、私も笑顔でいられる人生を歩むの。
fin.
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