SIDE : RIANA 《サイド :リアーナ》

SIDE : RIANA 《サイド :リアーナ》



「はぁロイド様、格好良かったな・・・」


街に出かけた夜、ベッドに入ってもロイド様のことが忘れられなかった。


凛としたたたずまいで、優しい口調。


物語に出てくる王子様の様だった。


しばらく前から、お姉様も大人びるようになった。


私にさらに優しくなり、笑顔も増えた。


理由は分からなかったが、そんなお姉様が嫌いではなかった。



しかし、いくらお姉様に愛されてもそれだけでは足りなかった。



お母様が早くに亡くなり、お父様も愛してくださらない。


皆がうらやむほど、愛されてみたかった。


ヴィルナード王国第一王子ロイド・エルホルム、彼に愛されれば幸せと言えるだろうか。


愛されることを憧れのままにせず、現実に出来るだろうか。


しかし、ロイド様はお姉様に興味を示した。


お姉様が泣いたから?



「無能の聖女」と呼ばれる可哀想な私ではなく、何故お姉様をなぐさめるの?



可哀想な私こそ、王子様に愛されて幸せを掴まないと。


待っていて下さい、ロイド様。


これから、貴方に愛されに向かいますわ。



コンコン。


「リアーナで御座います」


客間の扉をそっと開けて、深く礼をした後、可愛く微笑んで見せた。


「リアーナ嬢、街ではあまり話せず申し訳なかったね」


「いえ、大丈夫ですわ。その代わり、今日はリアーナともお話して下さいますか?」


「ああ、勿論・・・今日は、ティアナ嬢は不在なのか?」


だめよ、リアーナ。


いくら悔しいからって、不貞腐ふてくれてはダメ。


気を引きたいなら、あの日のお姉様の様に涙を見せないと。


私はわざと目に涙を溜めて、ロイド様に近づいた。


「ロイド様は私では不満ですか・・・?お姉様は、ロイド様にあまり会いたくなさそうだったので、私が名乗り出たのです・・・」


ロイド様の顔色は変わらない。


「そうか。では、今日はリアーナ嬢の話を聞かせてくれるかい?」


「はい!」


お気に入りの本に、習い事の話、お気に入りのお菓子、私は沢山ロイド様に私のことを教えた。


ロイド様はとても聞き上手で、話していてとても楽しく、時間はあっという間に過ぎてしまった。


「今日はとても楽しかったですわ。ロイド様!・・・また、会って下さいますか?」


「ああ」


大丈夫、この格好良い王子様に愛される様になれば、私は幸せ者だわ。


格好良くて、物語の王子様の様で、可愛い私にお似合いのはず。


それに、お父様も王族と婚姻を結ぶことを昔から望んでいた。



ロイド様、私だけの王子様になって下さいますか?

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