第25話
「……やっと起きましたね」
目が覚めると、げっそりした顔の幸架がベッド脇にいた。
璃久もソファーに横になっていたようだが、私が起きたことを知ると起き上がって近寄ってきた。
「……どうしても1つ聞かなければならないことがあります」
深刻そうな顔で2人は私を見つめる。
私も2人を見つめ返した。
はい、なんでしょう?と。
その意を汲んだ幸架が答える。
「いつから気づいていたんですか?」
私は首をかしげた。主語が、ない。
何が訊きたいのか、さっぱりわからない。
頭の中はハテナでいっぱい。
それだけで疲れたので、寝ようかなぁと考え始める。
それに幸架が気づき、慌て始めた。
「あっと、その、…あの、えっと、、、いつから私があなたを拾った人と違うって、気づいたんですか?」
あぁ、と寝る体制になっていた体を起こし、森にいた時から今に至るまでの回想をする。
「……もしかして、それも…、
ロックとやらがかけられてんのか?」
璃久が絶望的な顔で訪ねてきた。
おそらく、これは”私”にされた質問。
それならば、答えなければならない。
「私がこの部屋で目を覚ました時です。」
2人は、ポカーンという効果音がお似合いの顔をした。
あまりにも口が半開きなので、何かそこに突っ込んでやりたい衝動に駆られたが、それを耐える。
「え、えっと?」
よく意味がわかっていないようなので、丁寧に説明しよう。
「森で男性に会い、拾われました。しかし、私はそこで意識を失い、ここに来るまでのことは知りませんし、どの道を通ってきたのか、ここがどこにあるのかを知りません。」
私が丁寧に話し始めたのをなんとなく察した2人は、聞く姿勢を取る。
「ですが、目覚めた時、私を拾った男性ではなく、そこにいらっしゃる幸架様が私の看病をなさっていました。
私を拾った男性であるかのように振舞っていましたので、わざとそうしているのだと判断し、気づかないふりをしました」
2人はまだこちらを見ている。
「接触回数4回は、1度目は私が眠っている時に私を拾った男性が幸架様に私を預けた時、眼が覚めた時、お風呂上り、今日の四回です。
私が眠ると幸架様はお仕事に出られるようなので、接触回数が4回となっています」
「私とあの人は、何が違ったんですか?」
「幸架様と私を拾った男性、以下男性と呼ばせていただきます。の、違いは、次のように考えられます。
1つ、顔立ち。幸架様はぱっちり系の瞳。
男性は比較的鋭いような瞳。
輪郭は男性の方がはっきりとし、幸架様は男性より少し柔らかい印象です。
2つ、私への接し方。
幸架様は私とフレンドリーにお話をされます。私は無言でも何が言いたいのかを汲むあたり、読心術がお得意なのでしょう。
男性の方は私との会話はありません。
私が寝ている時に来て、帰るようなので。
3つ、筋肉。
幸架様は上半身の筋肉が男性よりもありません。
下半身は動き回っていることもありかなり筋肉質ですが、殴る、殺す等の動きをしないため男性とは筋肉量が違います。
その違いは抱き上げられた時にわかりました。
その他にもいくつかありますが、1番わかりやすいのは以上3点です。」
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