第7話





「…………死ぬのか」







低い声。

低すぎるほどではないが、重厚感のあるような、人を惹きつけるような声。

やはり、男のようだ。









男の口調は疑問ではなく、断定的だった。


会話やコミュニケーションなどとろうとは思っていないので、男には目もくれず、そのままぼうっと虚空を眺める。









──パキ、パキッ











男がこちらに近づいてくる音がする。












雲間から月の光が差した。

木々の間から差す月の光は、男を照らし、空間に浮かび上がらせた。









暗い瞳、少し長めの黒い髪。

目にかかって鬱陶しげな髪は、風になびいている。


黒い瞳には、憂いが宿っているように見えた。











その男は、目の前に来たと思ったら、私の目の前でしゃがんだ。



こちらに手を伸ばすと、顎を掴まれて無理やり顔をあげさせられる。








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