僕はもう一度、君と出逢う。

ま〜さ

第1話 過去

あなたはやり直したい、過去はありますか?

僕にはある。


そして、いつも、夢にでてくる光景。

高校の卒業式、僕はお祝いの花を手に持ち下駄箱で靴を履き替える。

「透君、卒業おめでとう!」不意に後ろから、鈴を鳴らしたような澄んだ声が聞こえる。振り向くと向日葵のような、あの娘の笑顔を。



小学校に入学した夏の日、僕(楠木透)は父を事故で亡くした。普段は遠方に出張で出ていた、父は、僕の誕生日を祝うため、仕事を終わら、高速道路を車で走っていた時に、居眠り運転のトラックが追突し、そのまま、帰らぬ人となった。


父と母は、大学時代に知り合い、熱烈な恋愛をして、大学を卒業して直ぐに結婚し、その後僕が産まれた。父はがむしゃらに働き、少しでも裕福な暮らしをと思い、朝から晩まで働いていたが、休みには、必ず僕と遊んでくれた。母はそんな父を助けるため、スーパーのパートをしながら僕を育ててくれた。

二人とも、僕を大切にしてくれ、沢山な愛情を注いでくれた。



でも、父の事故から、生活は一変した。


一家の大黒柱を亡くし、収入が途絶えたが、父の車に追突した、運送会社から保険金など入り、裕福ではないが、人並みの生活出来るようになった。母は父を亡くしたショックから、鬱病を患い、パートの仕事も辞め、家に籠りがちになり、ただ窓の外を見ている時間が増えていた。


僕も、父を亡くしたショックから、ふさぎこんだが、母には元気になって欲しい、笑って貰いたいという思いから、勉強を頑張り、いい点を取り、家の手伝いを一生懸命頑張った。


100 点のテストを母に見せると母は喜んでくれた。

家の手伝いをすると母は笑顔を見せてくれた。


でも、その笑いは、いつも上辺だけの笑いだった。


そんな日々が続いた、小学校2年の夏、母は自ら命を絶った。

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僕はもう一度、君と出逢う。 ま〜さ @masa19710819

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