第11話 フードを被った男
セシル達がリセッタを連れて店をでると。
物影から、一人の男が現れた。
「……リセッタ?」
突然現れたのはフードを深くかぶった背の高い男。
「リセッタ、本当に君か!? やっと見つけた!」
リセッタに駆け寄ろうとするが、その前にレニーの部下が立ち塞がる。
「何者だ、動くな!」
剣の
レニーが男の視界からセシルを
「危険です、お下がりください」
そしてリセッタの腕を掴んで引くと、注意をそらすための盾がわりにする。
リセッタの雑な扱いが気に入らなかった男が。
「彼女から手を離せ!」
と先に剣を抜いた。
セシルの前で剣を抜けば賊とみなされる。
部下が、踏み込むと同時に抜いた剣で斬り払った。
レニー直属の部下は選りすぐりの精鋭部隊だ。
にもかかわらず、相手がそれをかわした。
それを見たレニーは、リセッタに。
「一歩でも動けば、切り捨てる」
氷のような声で念を押した後。
セシルにはいつもの顔をみせて。
「すぐに終わらせます」
スラッと剣を抜いた。
レニーの邪魔にならないように、部下が一歩さがる。
「彼女を切り捨てると言ったか!? 後悔するぞ!」
フードの男の声に怒りがこもる。
「貴方程度に、それができるとでも?」
挑発するようにレニーが繰り出した鋭い突きを避けて、男は大きく後退した。
「無論だ、私の命にかけても!」
格上の相手にも、男としてのプライドをかけて立ち向かっていく。
セシルは後ろで。
「わかりやすい騎士の型」
と気楽に観戦している。
男の剣技は正確で美しいが。傭兵のような意表をつく発想も、枠からはみでた卑怯さも足りない。
騎士と傭兵の良さをあわせ持つレニーの相手としては少々役不足だ。
「なぜ女性を
気合いで打ち合いながら、フードの男が聞いてくる。
レニーに代わって、後ろからセシルが答えた。
「僕が命を狙われたんだから、当然だよ。詳しい話を聞くために移動するとこだから、邪魔をしないでくれる?」
肩で息をしながら、男は手を止めてリセッタをみた。
「……本当なのか? 本当にこんな少年を?」
「……はい」
リセッタが正直に領いたので、男はうなだれたように力を抜いた。
そして剣を鞘に収めると。
「知らずに失礼した。済まない」
と素直に頭を下げた。
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