超ミニのスカートでノーパンなのに男の子と盗賊退治って!?
ふー
第1話 プロローグ
暗闇から突如として村全体が赤く染まった。
炎に包まれた村。
パニックになり逃げ惑う人々。
飛び交う血飛沫とパタンバタンと倒れる知った顔の人たち。
「助けて―!」
と叫ぶものの、刃の餌食となっていく人々。
あたしは何が起こったのか分からず、その惨劇を俯瞰するように、傍観者のように見ているだけだった。
こんな辺鄙で何も無い村を盗賊が襲ってくるなんて誰も思っていなかったのだと思う。
母親に手を引かれて、家の裏の子供が入れるくらいの隙間に押し込まれ、何が起こっているのか分からないまま、そこで息を潜めるあたし。
盗賊に捕まって、卑猥な視線を母親に送りつけて、おもむろに衣服を脱がしていく。
男に胸を揉まれては、背を大きく反りあげ、男の棒を身体の中に押し込まれているように見える。
甲高い嬌声をあげる母親の声は、悦びの叫びのように聞こえて、その淫靡で蕩けた様な顔が強く記憶に残っている。
イヤがっている訳ではなく、むしろ悦んでいるかのような、あたしの知らない表情をしている母親。
それを見た時、あたしはゾクゾクと背中に何かが走った。
あの事件の時、あたしはまだ10歳だった。
そこからの記憶は曖昧。
ただ、あたしは感情を表に出す事は少なくなった。
感情が無い人形のように。
気付いた時には、白髪の老人の家にお世話になっていた。
老人は『エーロ』と名乗った。
大魔導士だという噂だけど、実際にその力を見た事はない。
どこにでも居そうな白髪の老人ってイメージしかなかった。
私はミーテと自分の名前を告げた。
エーロは幼いあたしを親の代わりのように育ててくれた。
あたしは淡々と、一族の仇を取りたい事を告げて、エーロは渋々ながらも協力してくれた。
あれから、およそ8年ほどの歳月が経過し、18歳になったあたしは、エーロからようやく独り立ちして旅に出てもいいと許可が降りた。
この8年の間、あたしはひらすら復讐のために剣技を磨き、一人で生き抜くためのサバイバルの特訓を受けていた。
8年前の事はエーロから聞いた。
盗賊団『マフ』の仕業で、生き残った者はあたしだけだったそうだ。
モロン村は本当に小さな村で、ひっそりとアブル族が生活している貧乏だけど平和な村だった。
『アブル族の生き残りはあたし一人となってしまったのか?』と問いかけると、エーロは首を振り、『必ずしもそうとは限らない』と言った。
つまり、あの日のあの時間に村に居なかった人が居る可能性があると云う事。
だけど、実際のところは分からない。
だから、私が私自身に課せたのは一族の生き残りを見つける事と、盗賊団『マフ』を殲滅させる事の2つ。
この2つを果たす事があたしの役目なのだと思った。
エーロに拾われてから度々、町にお使いに行き、さりげなくアブル族を探していると、分かった事がある。
それは、私はどうも可愛いと云う事。
それに胸が他の女性よりも大きいって事。
そして、あたしは他の女性と違って、ズボンを履いている事。
アブル族や盗賊団『マフ』については目ぼしい情報を得られなかったけど、あたしが他人にどう見られているのか等、自身の事が分かった事は収穫だったのかも知れない。
何度かモロン村にも脚を運んだけれど、焼け落ちた家もなくなり、草が生い茂っただけの土地になっていた。
かつて村だった形跡を見つけるのが困難な程に。
復興の兆しも無く、見捨てられた村と一族。
あたしは、呆然となって立ち尽くした。
そして、いつかあたしの手で、復興させたいと強く誓った――。
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