二十五話

嫌。そんな感情を表に出して、言葉にしたのは久しぶりだった。


 だって、ルーティーンを壊したら駄目だから。“君”も人狼ゲームに必要な要素の会議が無くなったら嫌でしょ?

 私はこの会議が大切で、この人狼において大切な役割を担っているから。休むなんて選択肢はない。


その言葉にクラリアはこう返す。

「なぁ。イロに脅されてるのか?昨日の仮眠室で何かあったのか?」


『どういうこと?』

何で彼が知っているんだ。


次から次へと考える事は多くて、頭痛のくせに脳は休まず働こうとする。

 頭が殴られてるみたいで、視界は白く点滅を繰り返している。脳が危険信号を出して警告を繰り返す。


『違う。イロとは何もない。今日だって2人きりになって無いし、何も企んでない。本当だから信じて』


全部が分からなくて、全てを投げ出してしまいたい。私は彼の腕を振り解いて目を合わせて話を続ける。

『信じてくれないなら、それで良い。』


「ちがう!そんなつもりじゃ」

『私は大丈夫だよ。何もしてない。ただ疲れが体に出てるだけ。ね?』


笑顔を作りながら、彼の位置から二歩下がって離れる。

 すると、

『うわっと危ない。』

「シレネ大丈夫?」


イロが後ろに立っていた。


「えっと、話してるところごめんね。会議が始まっちゃうから集合しよっか。」

 イロはそう言って患者達の元へまた行ってしまった。私はクラリアに行こうと視線を送って、そのまま振り返らずに進んだ。


足音から私の後ろに居る事が分かる。

『ねぇ、私の前に来てよ。』

 後ろにずっと居られると居心地が悪い。私の横と前に指を動かして、ここまで移動しろと急かす。

「....ん。分かった。」


クラリアはすぐに私の横に移動した。



『ごめん。言いすぎた。』

「あー...俺だって結構強く言ったし。」

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