本戦⑥



準決勝第二試合、セレフィナ対魔法使いセリーナの戦いが始まる。観客たちは期待に胸を膨らませ、リングを見守っている。セレフィナは一歩も動かず、冷静な表情を保っているが、その目には静かな熱意が宿っていた。一方、セリーナはその場に立ち、彼女の美しさと威厳を漂わせている。






セリーナは名の知れた魔法使いで、特に攻撃魔法に秀でていることで知られていた。彼女は数々の戦いを経験し、「氷の女王」と呼ばれることもある。彼女の魔法は凍てつく冷気を伴い、敵を一瞬で凍りつかせるほどの威力を誇る。過去には、同じく強力な魔法使いとの戦いで、瞬時に相手を凍結させて勝利を収めたこともあった。






「これが準決勝の舞台か…面白い。」セリーナは自信に満ちた声で呟く。




「我も楽しませてもらうぞ。」セレフィナは柔らかい笑みを浮かべつつ、戦いの準備を整える。






試合の合図が鳴り響き、セリーナは一瞬で詠唱を始めた。「フロストバイト!」その瞬間、彼女の周囲に冷気が集まり、氷の刃が次々とセレフィナに向かって飛び出した。






セレフィナはいつものように、その場から動かず、冷静に片手をかざす。「魔法障壁、展開。」淡い青白い光が彼女の周囲に広がり、魔法障壁が形成される。氷の刃が障壁に当たり、音を立てて砕け散る。






「さすが、魔法障壁を展開するのか。」セリーナはその様子を見て微笑んだ。「だが、これで終わりではないわ!」




セリーナは続けて詠唱を開始する。「アイススピア!」無数の氷の槍が空中に現れ、セレフィナに向かって放たれる。セレフィナはその攻撃を受け止めるべく、再び魔法障壁を強化する。






その時、セレフィナの心に一瞬の不安がよぎった。彼女は、この戦いでどれほど力を出すべきかを考えていた。「これほどの攻撃…ある程度の力を出さなければならないな。」






セリーナはその隙を逃さず、次々と攻撃を仕掛ける。「フロストウェーブ!」地面から冷気が渦を巻き、セレフィナに向かって襲いかかる。セレフィナは動かずにそれを受け止めようとするが、冷気が障壁を打ち破り、周囲に氷の破片が飛び散った。






「いい攻撃だが、まだまだ足りぬ!」セレフィナは真剣な表情に切り替え、力を込めて魔法を放つ。「フレイム!」




炎の魔法がセリーナに向かって放たれる。セリーナは瞬時に反応し、「アイスバリア!」その瞬間、冷気が周囲に広がり、炎の魔法を防ぐ。




だが、セレフィナはその反応を見て微笑んだ。「まだまだ、我の攻撃はこれだけじゃない。」彼女はさらに強力な魔法を準備する。






セリーナは息を整え、「次はこれよ!」冷気を集め、今まで以上の威力を秘めた魔法を詠唱する。「ブリザード!」




周囲が吹雪に包まれる中、無数の氷の粒がセレフィナに襲いかかる。セレフィナは動かずに障壁を張るが、その圧力は徐々に強まっていく。






「これは…かなりの威力…!」セレフィナは心の中で思いながらも、持ちこたえようとする。




セリーナはその隙を狙い、さらなる攻撃を仕掛ける。「氷の魔弾、発射!」凍てつく冷気をまとった弾が次々とセレフィナに向かって放たれる。セレフィナは流石にその力に驚き、今度こそ力を込めて反撃に出る。






「我も、もう少し力を見せねばな。」セレフィナは決意を固め、両手をかざす。「耐えてみせよ─。」




場内が静まり返る中、セレフィナは魔力を集め、強力な魔法を発動させた。「ファイアストーム!」




炎の嵐がセリーナに向かって襲いかかる。セリーナは驚愕し、「これがセレフィナの力…!」と叫ぶが、もうその攻撃を避ける余裕はなかった。






炎の嵐が彼女を包み込み、場内は再び熱気に包まれた。セリーナは全力で抵抗しようとしたが、その力に押しつぶされ、次第に力尽きていった。






観客たちは息を呑み、セレフィナの強さに驚嘆した。試合の終息を告げる合図が鳴り響くと、セレフィナは勝利を収め、次なる戦いへの期待が高まった。

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