第3話 中川蒼絵に危難!

 中川蒼絵は、くだんの事件の間に、安全性2位に上り詰めていた。島田ジョーダンの隣のベッドは前後に並んでいて、それぞれ向きが違う。この二つの間の、 わずかな隙間に、蒼絵は身を潜めていた。

 思い出して欲しい。小さな頃いただろう? 通学路の電柱の影やら駄菓子屋と換気扇との間やらに身を潜めていた、そんなヤンチャが。

 跳ね返ってくるのは自分の吐息だけ。蒼絵は怖くなった。蒼絵は少し体を動かした。

 そのとき、ハンターが急に動き出した。「ここで終わりか……」と中川蒼絵は覚悟し、動かなかった。

 

 やがて、足音が遠くなり、聞こえなくなった。蒼絵が体を動かして廊下を見渡すと、ハンターは誰もいない……。どうやら狙いは自分ではなかったみたいだ。

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