一話完結集
古音 深茶
二〇二四年十一月一日
秋も本格的に顔を出し始めた今日ですが、窓に張り付くカメムシの詩でも考えてみます。
この頃日差しが強く、冷えた風も日陰に吹きつけて、私カメムシには絶好のカメムシ日和なのかもしれない。いや、絶好のカメムシ日和である。人の作る網目上の壁は特別日差しが当たりやすく、自慢の鉤爪も食い込みやすいときた、やはり陽の光に当たると誰しも気持ちの良いものである。
『シューーー』突如壁の裏側からものすごい勢いで霧状のものが現れた。『おい、ここにもいるぞ、これでもくらえ、』『ブーン』、やはりこれは人の所業だな、近年の人は誰も懐が狭いのか、私たちカメムシへの執着が強いのである。
しかし引いてばかりいることでは我々カメムシの名誉もあるので、ここは一つ策を立てるほかない。いわばカメムシの復讐である。
ある日、妙に嫌な存在を感じた。網戸の外、いや、家の内側だ、奴がいる。私は虫撃退スプレーを手に取り奴に向けた。『今だ!!』人がこちらに狙いを定めた瞬間、私は自慢の羽を広げる。ギリギリのところで交わすことができたようだ、次の攻撃まで猶予がある。『あのカメムシ、避けやがったな、かくなる上は…』人が姿を消す。これはどう言う状況なのだろう。いや、先ほど感じた殺気から推測するにまだ諦めてはいないはずだ。色々考えているうちに奴が帰ってきた。『両手にスプレーなら確実にいける、これで終わりだ!』ものすごい殺気である。私がカメムシでなかったならとっくに逃げ出していたであろう。次の攻撃の後、全てを賭ける。
えーっと、カメムシ嫌ですよね。
おわり
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