2-7 少女A
ルナが振り向くと、少女は恐る恐る近づいてきた。
背は低く、まだ幼さの残る顔立ち。
先ほどまで怯えていたが、今は少し勇気を出しているようだ。
「あの……お姉さんは、ハイケットシーですか?」
「ハ、ハイケットシー?」
聞きなれない言葉に、ルナは首を傾げる。
その間にコメント欄がざわつき出す。
にゃん民: ハイケットシー?何それ?
にゃん民: 異世界用語キター
にゃん民: 確か猫の妖精じゃなかった?
「ごめんなさい、私は“ハイケットシー”というのを知らないですにゃ。
教えてもらえますかにゃ?」
少女は驚いたように目を見開く。
「えっ、違うんですか? ハイケットシーは、妖精さんの声が聞ける種族で……
だから、その……お姉さん、空中に向かって喋っていましたよね?」
「空中……?
あ、コメント欄のことですにゃ!」
ルナは軽く笑う。
にゃん民たちも騒ぎ立てる。
にゃん民: 妖精じゃなくて、俺たちが妖精扱いw
にゃん民: 新種族認定…
にゃん民: まあ、異世界的には画面越しなんて概念ないだろうしな
「私が見ていたのは、みにゃさん(視聴者)たちのコメントですにゃ。
でもこの世界にはコメント欄が見えていないから、そう見えたんですねにゃ……」
少女は戸惑いながらも、納得できない様子だが、今は深く追及しないようだ。
「私はシアといいます。12歳です。
ここからさほど遠くない街に住む人間族なんです。」
「シアさんですか。初めましてですにゃ。私は猫神ルナといいますにゃ!」
ルナがにこりと微笑むと、シアはほっとした表情で続ける。
「私は薬草を採りに来たんですけど、ゴブリンたちに襲われて……
本当に、助けてくださってありがとうございます!」
シアは頭を下げる。
「いえいえ、みにゃさんが応援してくれたから戦えたんですよ。
危ないところでしたにゃ!」
にゃん民: シアちゃん良い子そう
にゃん民: 異世界少女かわいい
にゃん民: 薬草採り→定番RPG展開w
「ルナさん、ぜひお礼がしたいです。
もしよかったら、私の住む街へ来てください。
きっと宿屋とか食べ物とか、少しでもお役に立てると思います!」
「え、本当に?
街に行けるんですかにゃ!?」
ルナは目を輝かせる。
この世界で生きていくなら、拠点や情報が必要だ。
しかも、街なら異世界の文化や光景を、視聴者にも見せられる。
「みにゃさん、聞きましたかにゃ!?
これで異世界の街をみんなにお届けできるかもですにゃ!」
にゃん民: 街デビューきたああ
にゃん民: とうとうRPGっぽくなってきた
にゃん民: 同接増やしてもっと強くなろうぜw
「ありがとうございます、シアさん!
ぜひ街に連れて行ってくださいですにゃ!」
シアは嬉しそうに笑う。
にゃん民たちも歓迎ムードだ。
「それじゃ、出発しますにゃ!
みにゃさん、これから異世界の街をお見せできると思うとワクワクしますにゃ!」
ルナはシアに続き、森の外へと足を踏み出すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます