第41話

「そうだ」とヒロが重たい口調で返事したのは、テオが立てた仮設を言い終えてから3分と少しばかり経っていた時だった。


「ふむ」と静寂を破ったのはホイットルだった。


「で、あればだ。アインさんの言う通り、被害者は今頃憲兵隊が包囲しているアジトに攫われたんでしょうな」


「カーケンさん、もう少し早く教えてくれれば……」班長がつぶやく。


「しかたありませんよ。我々、警察も王国から給料をもらってる人間です。もしその話が本当だったとして、班長はそのお嬢さんをほおっておけますかな?」


「おやっさん…… しかしだ、しかし」


「班長。今はお嬢さんを助ける事だけ考えましょう。助け出して、出自の話や彼女のこれからはその後に考えるべきだ…… いや、それを考えるのは我々ではないですな」


「ああ。そうだな、それを考えるのは国王陛下や議会の面々だ」班長が腕を組み思考を巡らす様な表情をすると一言「ダメだ」と言った。


「何がだめなんです?」


テオがぽつりと言った。


「その話が本当だったとしてもだ。アジトを包囲中の憲兵隊に無線連絡なんかしてみろ、解放戦線がそれを傍受して何が起こるかわからん!」


「なるほど……」とテオが腕を組み考えるような表情になった「そうだ、暗号とか使えないんですか!?」


「暗号はねえ」ホイットルが会話を拾った「本庁からでしか使えんのですわ。今から向かっても間に合うかどうかってぇ所ですな」


「本庁から暗号を飛ばしても、受け取るのは現場ではなく憲兵隊の本部だ」班長が口ひげをいじりながら言う「そこから現場に人を飛ばして、はたして間に合うかどうか……」


「しかし班長。ひとまず、一班むかわせましょうや。間に合わないって結果になってもやらないよりはマシだ」


「おやっさん…… そうだな」班長が右左と首を振ると「おい!」と待機中の制服警官を呼び止め指示を出し始める。


「しかし、こうなるとアインさんの言うように憲兵隊の馬車を追いかけておくべきでしたな」


「いやぁ、それでもホイットルさんの言う通り見つけられたかどう、か…… 馬車だ」


「ん?馬車?」


「ええ。馬車ですよ、あれに積まれてるんです」


「大杖専用の輸送車です、杖なら積まれてまさぁな」


「ええ、大杖からの魔力の干渉があるからって最新の無線機は使えないんですよ。その変わりですが、かなり古い型式タイプの通信機器が備え付けられてました」


「なんと、古い型式タイプの。アインさんどんな物だったかわかりますかい?」


「ええっと…… 紙が、細い紙が出てきて、紙は出てくるときにポツポツと穴が開けられて」


「なるほど。あれだ符号通信だ。あるぞー!それなら!署まで戻らなくとも、その辺の派出所に!古い奴が!! おい!そこのぉ! お前、近くの派出所勤務が長かったろう!」


ホイットルが近くの制服警官を捕まえると言った。

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