第39話

「ゆゆゆ、Uターン? 無理を言うんでねぇ! だいたい何処に行こうって言うんです!?」


「解放戦線のアジトとかいう所です!」


「まてまてまてまて! アインさんは解放戦線が嬢ちゃん一人かっさったって言うのかい!?」


「ええ、そう! そうなんですよ!」


「いやいや、仮にそうだとして、アインさん! あんさんアジトが何処か知ってるのかい!?」


「しりませんよ! だからUターンして追いかけないと!!」


「なんてぇこったい!」


急激な制動と共に車が停まる。


「アインさん、確証はあるのかい?」


「確証は……」


「教えてくれ。おれもこの歳だ、命令違反で降格とかしたくねぇんだ。年金の額ががちっと減っちまう…… 教えてくれ、確証はあるのかい?」


「まだ…… はっきりとは。そうだったら色々辻褄が合うかなって段階でして」


「なら、申し訳ないがこのままカーケン邸へ向かわせてもらう。現場の責任者の許可をもらってからだ。そしたらあんさん、あんさんを何処にでも連れてってやってぇみせますよ」


ホイットルがアクセルを踏み込む。


「アインさん。安心してくれ、その現場で指揮をとってる人間ってぇのが、そこそこ頭のキレる御仁でざぁ、貴族家ご出身ってこともあって軍にも顔のきく人間ですよ。悪い判断じゃあないとワタシは思いますがね。それにここまでくればカーケン邸もすぐそこでさぁ。Uターンしたところで憲兵さんご一行を見つけられる保証も無ぇんだ」


「そう、そうですが!」


「カーケン邸には無線機も運び込まれた頃でしょう、そこで情報収集した方が確実と思いませんかぃ」


「そう、そうです…… ああ、そうしましょう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る