第35話

「え、いや、このままがいい。律儀だね、麗は」



「だって、あたし高校行ってないからわかんないけど…先輩には敬語で話すのが正解なんでしょ?」



中学校もバイト先もそうだったよ、と真面目な顔で覗き込んでくる麗に、功太は吹き出して悪かったと言うように咳払いして視線を合わせた。



「うん、そうだね。確かにそうだ。でも俺たちはどっちが年上とか知らないで出会った訳だし。俺は、今までの方が落ち着くんだけどな。麗は違う?」



違わない、と麗は首を横に振った。



「あたしもこのままがいい」



麗の言葉に納得したように功太は微笑んでひとつ頷いた。

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