幼い頃の記憶

第1話

「うぅ、ままぁ、ぱぱぁ」


これは私が6歳の頃の出来事。私の両親は居眠り運転していた車に追突され亡くなった。私を抱えた母と母と私を守ろうとした父。そして、助かったのは私だけだった。


「やだぁ、ままぁ、ぱぱぁ」


まだ6歳という、これから未来ある年齢。これまでの記憶など無に等しかった。


「うぅ。ひっく、ひっく、うぅぅぅ」



「あぁ、君が千夏(ちなつ)ちゃん?」



泣いている私の隣に来て話しかけてきた人がいた。誰だかわからないが振り向いた私。


そこにはとても幼いのに格好良く。優しさ溢れる笑顔を持つ少年がいた。


「う、うん。千夏、だよ」


「そっか、寂しかったよね。でももう大丈夫」


「だ、だいじょうぶ?」


「うん。これからは僕の家族になるんだよ」


「私の、家族、、、」


「あら、香(かおる)。もう千夏ちゃんと仲良くしていたのね」



そして次に現れたのは優しそうな女の人。


「私は、香の母の花[はな)っていうの、これからよろしくね」

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