第18話

「本日のメニューは、ご飯、ビーフシチューハンバーグ、ナスの南蛮漬け、トマトスープ、卵サラダ、フルーツゼリーでございます、毒味は済んであります」


「そう…。もう下がっていいわよ。ありがとう」


「はい。失礼致します」



そうして淡々と出ていく家政婦さんたち。



「それじゃあ、いただきましょう」



私の隣には良真。私の前にはまりさん。良真の前には父親であろう研二さん。そして、その間に挟まれているのは兄であろう海戸さん。



「おぉ…。君が良真の彼女だね」


「は、はい」


「ふぅん。あんたが…」


「おい、海戸。馬鹿な事すんなよ」


「はぁ…。しねーよ。お前敵に回す方がよっぽどこえーわ」


「さ、ゆずちゃん!食べてみて?美味しいはずよっ」


「やめといた方がいいよ、ゆず先輩」


「えっ?」


「ほら、海戸。先に食べろ」


「俺を毒麻役にするなよ…」


「ほら、早く」



そう言われ、一口ずつ食べる海戸さん。



「大丈夫だと思う」


「それじゃあ,食べていいよ」


「あ、うん」


「もう!私のことをいい加減信用して欲しいものよ」


「無理」



冷たく遇らう良真はなんだか少し楽しそうだ。



そうして食事を済ませて、私が帰ろうとしていると、話しかけてきた。



「ゆずちゃん!これから毎日お迎え行くわね」


「えっ?」


「大丈夫。守るためよ」


「は、はい?」


「あ、そうだわ。ゆずちゃん。これ」


「これは…?」


「このお家の鍵。持っておいてちょうだい」


「あ、ありがとうございます」


「いいのよ。良真の彼女だもの。あの子が恋人を作るなんて初めてなのよ…。つい怖い雰囲気を出してしまって申し訳ないわ…」


「い、いえ。気にしないでください」



ということで、この家に仕える家政婦さんは、私と良真を乗せて、私を家まで送ってくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る