リーネとアルトの勝負

翌日、学園に戻るとある騒ぎが起こっていた。


ある男爵令嬢が沢山の貴族子息達に近づいているらしい、と。


元々問題視されていたらしいが、最近になり噂がさらに大きくなったらしい。


ある男爵令嬢とは、学園の試験結果の発表の時に沢山の貴族子息に守られるように愛されていた者と同一人物であった。



彼女の名は、フローラ・ヴィアローズ。



そのフローラ・ヴィアローズに、沢山の貴族子息が夢中になっているらしい。


そんな時、私をアルト様が空き教室に呼び出した。



「ねぇ、リーネ。俺と賭けをしない?」


「君が勝ったら、一つだけ君の質問に必ず答えることを約束しよう」



唐突すぎる申し出である。



「・・・賭けの内容は何でしょう?」



「実は俺、今話題の男爵令嬢・・・つまり、フローラ・ヴィアローズに付き纏われてるんだよね」


「それを解決して、俺のことを諦めさせて」


「それが出来たら君の勝ち。出来なかったら、君の負け。どう?」



「あまりに難しいことを仰るのですね?」



「そうかな?彼女は俺になんて本当は興味がないよ。ただただ、皆に羨まれるくらいに愛されたいだけの人間だ。・・・それに、君は「俺が一つだけ君の質問に答える」という魅力に逆らえないだろう?」



このアルト・レクシアという人物はあまりにも謎が多すぎる。


確かに私は、この賭けの魅力を感じている。


しかし・・・




「では、私が負けた場合はどうなるのでしょう?」




「うーん、リーネから俺に口づけをして」




「っ!・・・本気で仰っているのですか?」


「当たり前だろう?愛する者からの口付けほど嬉しいものはない」



私は一度深く息を吐いた。



「いいですわ。その賭け、受けて立ちましょう」



私は、公爵令嬢らしく美しい微笑みをアルト様へ向けた。


聡明な公爵令嬢と、同じく聡明な隣国の公爵子息の勝負。



一体、どちらに軍配が上がるのでしょうか?

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