最強に転生した僕は裏の支配者を夢見る
坂神璃月
第1話 異世界転生した僕は最強に生まれた
「―――」
「これだけの力を持ちながら何故その力を正しさに使わない!?」
「お前は…お前は一体何者なんだ!?」
圧倒的な実力差を感じさせる、黒衣に身を包むその男への悲痛な叫び声が響いた。
「――私は『ヴェイル』」
「――「裏から世界を支配する者だ。貴方は私が記憶する価値のある人間かな?」
静かに、そして冷淡に黒衣の男はそう語った。
――これは最強の力を持ち転生した少年リンが裏の支配者ヴェイルとして、正義が踏み込めない領域。殺し、壊し、支配して裏から世界を制する物語である。
***
――突然だが、誰もが一度はアニメや漫画でヒーローと相反する存在、ダークヒーローに憧れたことはないだろうか?
僕は王道の主人公よりアウトローで暗躍する存在に憧れていた。誰もが人々を助け正義を執行する主役のヒーローに憧れる中、僕にとってのヒーローは己の野望の為手段を選ばす暗躍し、裏で世界を支配する存在だった。
――しかし子供の頃の憧れと言うものは、大人になるにつれて徐々に薄れ、誰もが現実を見るようになり、僕もこの世界に転生するまで忘れていた夢だった。
しかし、ある出来事が突然夢を呼び覚ました。
***
その時期は冬であり、下校時間を迎えると辺りはすでに暗くなっていた。
僕は寒さに少し震えながらも上着を身につけ家路に向かい歩き出す。突然漫画でよく見る展開のように居眠り運転の車が僕に突っ込んできたのだ。
この手の展開であれば、助けるべき子猫や友達を救って名誉ある死を迎えるなら、どれだけかっこよかっただろう。
スピードを上げ続け、こちらに迫ってくる車に冬の寒さもプラスされ足が震えていた僕は、車を避ける事が出来ずに普通に事故にあった。
僕はこの時死んだ。
そして、暗闇の世界に突然立たされた時、一箇所に光り輝く何かを見つけた。
僕はその光に向かって走り出した。それを手にした瞬間、僕は見事異世界転生を果たしたのだ。
***
――僕は能力を手に入れる事が出来た。
目が覚めた僕は自分が纏っていた魔力のようなものが見えた訳だ。
僕は今生後数ヶ月の男児として生まれ変わっている。生まれてからどのくらい経っているかは分からないがそんな事は些細な問題だろう。
何より僕を困惑させたのは言葉を理解し、普通に話さずともテレパシーで相手に考えを伝える事が出来たこと。こっちの方がよっぽど重大な問題だった。
僕がまだ赤子なのに、話したことに両親が目を見開いて驚いていた。だから、僕の考えが伝わっていたのだろう。正確にはテレパシーなんだよなぁ。
僕の小さな身体から見える景色を元に推測すると、中世時代みたいな世界である事が分かった。
僕は生まれ持った能力により、赤子ながら普通に空を飛んだし、トイレも自分でできた。体が小さい事以外は、不自由な点はあまり無かったと思う。流石にご飯は離乳食のようなものだったが。
赤子から生まれ変わったのだ、沢山ある時間を使い修行する事で僕は生まれ持った能力を使って何が出来るようになるのかを知りたかった。
「もしかしたら、僕はこの世界で忘れ去っていた子供の頃の夢、ダークヒーローとなり裏で世界を支配する夢を実現できるかも知れない!」
願いが叶えられる嬉しさに思わず力んでしまう。あっやばい、破壊光線出る。
「――ドォォォォン!」
ごめん、父さん母さん家穴開けちゃった。
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