光の異世界旅行

SORA

第1話 冒険者ギルド①

旅は僕にとって幸せな日常だ。


我が家はないけど、別に憧れているわけでもない。なぜなら、今の生活がとても充実しているから。でも知らないところに行くわけだから失敗も結構する。だけど僕はその失敗も含めて幸せだと思っている。


「コウー!起きてー!!」


今、気持ちよさそうによだれを垂らして寝ている目の前の真っ白な猫の名前はコウ。僕の相棒であり親友。眼の色は僕と同じ青で、大きさは僕の肩に乗れるぐらいだから普通の猫より小さめ。


そして、なんといってもコウの良さはこのモフモフ具合!毛並みがサラサラでモフりたくなる。


「うーん…もっと食べれるよぅ…むにゃむにゃ…」


これじゃ、起きそうにない。なにか美味しいものを食べている夢でも見ているのだろう。幸せそうだし、もうちょっと待ってやるか。


「コウー!散歩してくるねー!」


コウには聞こえてないと分かってるけど一応、声を掛けといて僕は散歩に出かけた。


ここはグラナヴィア王国の王都らしい。あくまで僕は旅人で、ここに来るのは初めてだから詳しいことは分からない。


今は宿代でお金がほぼ無いからどっかで仕事を見つけなくちゃいけない。


「すいません、ここらへんですぐにできる仕事ってありますか?」


僕は歩いていたおじさんに話しかけた。


「兄ちゃんイケメンだな!」

「え、ありがとうございます…?」

「おっと、すまん。こんなにイケメンな奴見たことなくてよ」


僕の容姿が良いのは一応自覚しているけど、僕よりイケメンな人はたくさんいるだろう。だから、このおじさんが言っていることはたぶんお世辞。


「それより仕事か…。兄ちゃん戦闘はできるか?」

「剣術とかはしたことないですけど、武術なら一応できます」

「それなら冒険者をおすすめするよ。依頼によって命の危険はあるが、自分の強さに合う依頼を選べるし、すぐに仕事もできるからな。冒険者が良いなら冒険者ギルドへ行くと良い。冒険者ギルドはすぐそこにある」


おじさんは二階建ての大きい建物を指差した。


「ちなみに俺も冒険者だから、冒険者になるんなら俺が色々教えてやるよ」


おじさん色々詳しそうだし、教えてくれるなら冒険者、良いかもしれない。


「僕も冒険者やります!!」

「は!?決めんの早くない!?命の危険もあるから、もうちょっと考えた方が…」

「分かってます!それでもやりたいんです!」

「まあ、兄ちゃんがやりたいって言うなら俺は止めないけど…」

「あ!ちょっと待っててください!僕の相棒を連れてくるんで!色々教えてください!」

「おう…ってもしかして、戻ってきたらすぐギルドに行く感じ?」

「そうですー!!待っててくださーい!!」


荷物は『光の空間』という所に全部入ってるから、あとはコウを起こして連れて来るだけ。


ちなみに『光の空間』は『旅光たびひかりの技』の中の一つ。『旅光の技』は僕とコウだけの固有スキルのようなもので、他にも旅をするのに便利な技がある。『旅光の技』は全ての技が、発動するときに体が光る。光の大きさとか光るところとかは、自分で決められるけど、必ず体が光る。なんでかは分からない。


『光の空間』は亜空間みたいなところで、ものを入れられるから荷物は全部『光の空間』の中。めっちゃ便利で助かる。


宿屋に着いて、自分たちの部屋のドアを開けると珍しくこの時間にコウが起きていた。


「あ、ヒカルーおかえり〜」

「うん〜ただいまー…っじゃなくてコウ!出発するよ!」

「あ、もう?」

「ほら、宿代で今お金が無いからさ、仕事探してたんだけど冒険者がいいなと思って」

「いいじゃん!」

「だから行くよー!」

「はーい!」


コウは僕の肩に乗った。


そして、僕たちはおじさんの所に向かった。

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