雨濡れの祠
千織
前編 怪書
こんな田舎さ何しに来た? あ? 本を探してる? だば町さ行ったらいがべじゃ。
雨濡れの祠……? ……ああ、あの本のごどが。
昔な、アマカワっちゅう志の高ぇ娘っこがいだのす。乳こそねがったけども、売れねぇ物書きの面倒を見てよぉ、いい作品だがらつって、町まで売りに行っだり、そいつらの作品集めで、自分で図書館みでなごどしてらったのす。
ある日アマカワがよ、自分でも書いだ本を、たまだま村さ来でらった凡丸っちゅう先生に見せだのす。先生から助言を受げで、直したんだが、ながながその作品は売れねがっだず。
他の作品はどんどんと人気になったけども、その作品だけどうしてが手に取ってもらえねがっだど。アマカワはそれが悔しぐて悔しぐて、村さ来た人が本が読めるとわがれば、力づぐでさらって座敷牢さ閉じ込めたんだと。
面白ぇと言えばそれは嘘だと言って拷問し、つまらねぇど言えば作品が良くなるまで飲み食いさせねぇで牢に閉じ込めだままにするんだど。
昔の話どはいえよ、たびたびこごらでは人がいなぐなるのよ。あんたもそったらおっかねぇ本さ興味もだね方が身のためだじゃ。
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